壁内結露の原因と対策は? こんな方法も効果があります!
内部と外部の温度差が激しいときに発生する結露。窓や壁の結露に悩んでいるという方は多いでしょう。しかし、今は目に見えない「壁内結露」が問題になっています。いったいない壁内結露とは何でしょうか?
そこで、今回は壁内結露の原因と対策についてご説明します。実は、壁内結露は現在の住宅が抱える新しい問題でもあるのです。ですから、まだ認知が進んでおらず、「原因はわからないけれど、家がカビ臭い」と悩んでいる方もいるでしょう。壁内結露について知りたい方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.結露が発生する原因は?
結露とは、内部と外部の気温差が激しいときに窓ガラスなど温度が低い場所で暖かい水蒸気を含んだ空気が冷やされ、水蒸気の一部が水に変わる現象です。冷たい水をガラスのコップに注(そそ)いだときや、ビン入りの飲みものを冷蔵庫から出したときにコップやビンの表面に水滴がつきます。
これは、コップやビンの周囲にある空気が冷やされて起こるのです。結露は湿気と激しい温度差があるところはどこでも発生します。家で結露が発生する場所といえば窓を思い浮かべる人が多いですが、そのほかにも金属製のドアや暖房の熱が届かない部屋の壁などに発生しやすいのです。
2.結露の何が問題なの?
結露は水分です。日本の家は木造建築が大半のため、過剰な水分は腐食の原因になります。窓や壁、ドアなどは防水加工がされていません。ですから、余分な水分は床などにしみこんで土台をいためてしまうでしょう。
実は、この結露が問題になり始めたのはここ40年ほどなのです。日本家屋はもともと隙間が多く、夏を過ごしやすいように防湿対策が取られていました。ですから、内部と外部の気温差があまりなかったのです。
その分冬は寒く、暖房をつけても効果は期待できませんでした。しかし、住宅技術が進歩して気密性が高い住宅が作られるようになると、内部と外部の気温差が激しくなったのです。日本は多湿ですから、冬でも空気は湿っています。
この湿った空気も結露の原因になるのです。ちなみに、同じ気密性の高い住宅のヨーロッパでは空気が乾燥しているため、あまり問題になりません。
3.壁内結露の原因とその問題点は?
さて、ここまで通常の結露ができる仕組みと問題点をご紹介してきました。この項では、壁内結露とその問題点をご紹介します。通常の結露と何が違うのでしょうか?
3-1.壁内結露とは?
壁内結露とは、壁の内部に発生する結露のことです。現在の住宅は壁の内部に断熱材が入っています。この断熱材のおかげで気密性が高まって、冷暖房が効きやすくなるのですね。
しかし、そのせいで内部と外部の温度に差ができます。このとき、室内の湿気が壁を通過して断熱材の中で結露してしまうのです。その結果、断熱材が結露でびしょぬれになってしまうかもしれません。
3-2.壁内結露の問題点は?
壁内結露が起こると、前述したように断熱材がぬれてしまいます。断熱材がぬれたところで効果に変わりはありません。しかし、ぬれたものを放置しておけばカビがはえます。さらに、断熱材は木製の柱や土台と接しているのです。
ぬれたものが木材に接し続けていれば、木材は腐食してしまうでしょう。家の柱や土台が腐れば強度が一気に低下します。この状態で地震が起これば家屋倒壊にもつながるでしょう。つまり、壁内結露は家そのものに深刻なダメージを与えるのです。
また、壁内結露の被害はそれだけではありません。カビが発生すれば、カビの胞子は壁紙をすり抜けて部屋の内部へ侵入します。カビの胞子はアレルギーを引き起こす可能性もあるのです。
つまり、壁内結露が発生した部屋に住んでいると健康に悪影響がでることもあるでしょう。さらに、壁内結露はよほど状況が悪化しなければ気がつかないことが多いのです。壁の内部など大規模なリフォームをしない限り、確かめることはありません。また、カビが繁殖すれば臭いもしますが、まさか壁の中の断熱材がカビだらけになっていると考える人は少ないでしょう。
また、壁内結露で家全体の断熱材がダメになってしまえば、交換に多額の費用がかかります。
4.壁内結露の対策は?
さて、このように恐ろしい壁内結露ですがどのような対策をすれば予防できるのでしょうか?この項では、壁内結露の対策についてご説明します。
4-1.壁紙をビニール製のものに替える
これが最も安上がりな対策方法です。ごぞんじのように、ビニールは水分を通しません。ですから壁の内部まで湿気が届きにくいのです。そのかわり、室内の壁に結露が発生する可能性があります。しかし、室内の壁に発生した結露ならふき取ることもできるでしょう。
壁を壊すなどの余裕がないという場合は、まずは壁紙を変えてみてください。同じように、湿気をできるだけ少なくする方法もあります。湿気がなければ結露は生まれません。そこで、除湿器を用意して可能な限り湿気を取り除きましょう。限界はありますが、何もしないよりはよいのです。
4-2.防湿シートを張る
こちらは、これから家を建てる人向けの対策です。断熱材と壁の間に防湿シートをつけましょう。そうすれば、たとえ湿気が壁を通してやってきて通しやすくぬれにくい素材に変える方法もあるのです。
また、断熱材を湿気が通りやすくぬれにくい素材にするという方法もあります。壁内結露が問題になって以来、断熱材を製造販売する会社も対策にのりだしました。ですから、壁内結露しにくい断熱材も販売されています。湿気が多く冬は気温が下がる場所に家を建てる場合は、断熱材の種類にも気を配りましょう。
4-3.外部断熱にする
外部断熱とは、柱や筋交いに邪魔されず家じゅうをすっぽりと断熱材でくるむ方法です。この場合は外壁の間に断熱材を入れるので、壁内結露が起こりにくいでしょう。しかし、外部断熱は従来の内部断熱よりも費用が高くなりがちで、じょうずにできる施工業者も限られています。
ですから、外部断熱の施工実績が豊富な業者に依頼ができて、資金に余裕がある場合は外部熱工事を視野に入れましょう。壁内結露が怖いから、という理由だけで無理に外部断熱にする必要はありません。施工会社とよく相談してください。
おわりに
今回は壁内結露の原因と対策についてご説明しました。
まとめると
- 壁内結露は壁の内部に結露が発生すること。
- 結露によって断熱材がぬれてしまえば、カビや腐食の原因になる。
- 壁内結露で断熱材がカビれば、健康に悪影響が出る。
- 壁内結露によって柱や土台が腐食すれば家の強度が弱くなる。
- 防湿シートを張ったり、断熱材を湿気に強いものにしたりするなどの対策を立てよう。
ということです。
壁内結露はまだまだ認知されていません。ですから、ご自宅の壁の中に結露が発生していても気がつかない方も多いでしょう。カビ臭いけど、どこにもカビがないという場合や床板がふかふかしてきたという場合は、壁内結露を疑ってください。壁内結露がひどいと最悪の場合は断熱材をすべて交換しなくてはなりません。
これから家を建てる方は壁内結露対策もしっかりと行っておきましょう。特に、冬は湿気が高く寒くなるという地域は壁内結露が発生しやすいです。