ビルの外壁補修を効率的かつ低コストで行う方法とポイントを紹介
「ビルの外壁補修はどのように進めればいいのか」「効率的かつ低コストで外壁補修はできるのか」など、ビルの外壁補修で頭を悩ませている方は多いでしょう。
ビルの外壁補修は戸建て住宅よりも費用と時間がかかるため、しっかりと計画を立てることが大切です。
そこで、本記事では、ビルの外壁補修で押さえておきたいポイントや、効率的かつ低コストで行う方法などを詳しく説明します。
この記事を読むことで、外壁補修の計画立案やコスト削減のポイントなども分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。
1.ビルの外壁が劣化しているサイン
まずは、ビルの外壁が劣化している兆候やサインをチェックしましょう。
外壁に出る劣化症状
ビルの外壁に以下のような症状が表れると劣化しているサインになるため、できるだけ早めの対処が必要です。
- ひび割れ(クラック)
- チョーキング現象(外壁に触れると白い粉が付く現象)
- 塗膜の剝がれ・浮き
- タイルの剝がれ・浮き
- コンクリートの割れ・剥離
上記の中でも特に気をつけておきたいのが、ひび割れです。ひび割れには、幅が0.3mm未満のヘアークラックと幅が0.3mm以上の構造クラックがあります。ヘアークラックはまだ深刻な状態ではありませんが、構造クラックは建物の構造に悪影響をおよぼしている可能性が高いので注意が必要です。いずれにせよ、外壁にひび割れが見つかった際には早めに対処したほうがいいでしょう。
鉄部のサビ
ビルの外壁劣化において、鉄部のサビも気をつけておきたい症状の1つです。たとえば、外階段や手すり、メーターボックス、避雷針、防火扉などさまざまな場所で鉄が使用されています。腐食が進むと鉄部の破損や破断につながり、サビを放置すればするほど部材の交換や溶剤補強が必要になるので注意してください。鉄部のサビを含めた外壁劣化を放置するとさまざまなリスクが生じます。
雨漏り
ビルの雨漏りも外壁が劣化しているサインですので早めの対処が必要です。すでに雨漏りが発生している場合は、ビルの内部にまで悪影響をおよぼしている可能性があります。そのまま雨漏りを放置すると、建物の基礎部分に問題が生じてしまうので注意してください。なお、雨漏りの原因は外壁の劣化以外にも、ビル屋上の排水不備や施工不良、ビル内部の配管破損などが考えられます。
2.劣化した外壁を放置するリスク
ここでは、劣化した外壁を放置するリスクについて詳しく説明します。
耐久性が著しく低下する
劣化した外壁を放置すると、ビルの耐久性が著しく低下する恐れがあります。外壁の劣化と建物の耐久性は関係がないと思われがちですが、外壁の劣化から雨水が浸入すると構造部分にダメージを与えることとなり、建物自体の寿命が縮まってしまうのです。耐久性が維持できなくなるほど、ビル自体に大きなダメージを与えることになります。テナントや居住者にとって、耐久性が低下したビルでは安心して過ごすことができません。
外壁材の寿命が短くなる
建物自体の耐久性だけでなく、ビルの外壁劣化を放置すると外壁材の寿命も短くなります。ビルによく使用されている外壁材といえば、ALCボード・タイル・金属系サイディングボード・モルタル壁などです。定期的にメンテナンスを行うことで耐久性は維持できますが、メンテナンスを怠ると通常の耐用年数よりも早めに寿命が訪れます。外壁材の劣化進行を抑えるためにも、定期的なメンテナンスが必要です。
資産価値が下がる
ビルの資産価値が下がりやすくなるのも、劣化した外壁を放置するリスクです。一般的に、築年数が経過するほど建物の資産価値は低下していきます。資産価値の低下を止めることはできませんが、進行を抑えることは可能です。外壁補修をしっかりと行っているビルは資産価値が保てますが、メンテナンスを怠っているビルは資産価値が大きく下がります。資産価値が下がったビルは需要がなくなり、自然と空室も目立つでしょう。
美観が保てなくなる
外壁が劣化しているビルは第一印象が悪く、周囲にも悪影響をおよぼす恐れがあります。外壁は建物の「顔」になる部分ですので、外壁補修やメンテナンスで美観を保つことが大切です。また、劣化している外壁を放置するほど周辺環境の雰囲気も悪くなり、治安も悪化しやすくなります。ビルの外観は周囲にも大きな影響をおよぼすのです。
補修費用が高額になる
外壁の劣化を放置しているとどんどん状態がひどくなり、補修費用が高額になる恐れがあります。初期の劣化症状であれば簡単な補修で済みますが、劣化症状が深刻化すると大がかりな補修になるからです。前述したように、外壁の劣化から躯体(くたい)や基礎部分にまで悪影響をおよぼすこともあります。基礎部分にまで悪影響がおよぶと、簡単な補修だけでは対応できなくなるでしょう。
3.外壁補修の計画立案とコスト管理
ここでは、外壁補修の計画立案とコスト管理の方法を解説します。
3つの修繕計画
ビルやマンションといった大規模修繕が必要不可欠な建物は、長期・中期・短期と3つの修繕計画でメンテナンスと補修を行うのが一般的です。それぞれの特徴をチェックしておきましょう。
長期修繕計画
長期にわたる問題に対する基本方針です。主に、大きな改修を行う時期や総合的な点検についての計画を立てることになります。大規模修繕にかかるコストをつかむことが目的の1つです。長期修繕計画では刻々と変化する問題には対応できませんが、具体的な課題や資金投入を決める大切な枠組みとなります。
中期修繕計画
大規模改修をどのように行うのか、具体的に整理するのが中期修繕計画となります。一般的に、長期修繕計画は10~20年を目安に策定を行いますが、中期修繕計画は5~10年と短めのサイクルになるのが特徴です。長期修繕計画を軸にした上で、修繕時期や費用を具体的に決めることが大切なポイントとなります。
短期修繕計画
短期修繕計画は、単年度の維持保全計画です。ビル経営に与える影響を検証することが大切で、資本的支出と費用に分けて計画を立てます。大規模修繕を行う前には、短期修繕計画の見直しが必要です。主に、修繕費用を算定したり、資本計画の準備をしたりすることになります。
補修に必要な資金を集める
ビルの外壁補修は、戸建て住宅よりも高額になるのでコスト管理が重要になります。しっかりとした修繕計画を立てていても、資金が準備できなければ意味がありません。なお、一般的に資金を集める方法は以下のとおりです。
修繕費を積み立てる
高額な修繕費はすぐに準備できないので、日ごろから積み立てておく必要があります。ただし、マンションとは違い、オフィスビルや商業ビルに修繕積立制度はありません。よって、ビルのオーナーはテナントや住居者から支払われる賃料を修繕費として積み立てるのが一般的です。しっかりと修繕費の準備をしておけば、計画的な修繕・改修ができるようになります。
融資を受ける
テナントや居住者からの賃料で積み立てるのが難しい、修繕費をまかなうことはできないと不安を覚えている方は、金融機関から融資を受けるのも選択肢の1つです。金融機関から融資を受けることで、計画的に修繕と改修が実施できます。しかし、融資を受けるということは借金をするのと同じなので、返済計画も踏まえた上で中長期修繕計画を見直すのが大切なポイントです。
定期的なメンテナンスがコスト削減につながる
できるだけ補修費用を抑えたい方は、定期的なメンテナンスを心がけましょう。定期的に外壁のメンテナンスを実施することで、劣化症状も初期段階で気づき対応できるようになります。定期的なメンテナンスは早期発見につながる重要なポイントです。
4.無足場工法のメリットと導入時のポイント
ここでは、無足場工法のメリットと導入時のポイントを解説します。
足場をかけない「無足場工法」
外壁工事は足場を設置するのが一般的ですが、足場をかけない無足場工法も採用できる可能性があります。無足場工法は足場をかけず、屋上に設置した専用機器と作業員の腰につける産業用ロープを用いて外壁工事をするのが特徴です。産業用ロープとつながった作業員が上下に移動しながら、外壁の補修を行うことになります。無足場工法は広範囲の作業には向いていませんが、部分的な補修にはピンポイントで作業できるのでおすすめです。
無足場工法のメリット
では、無足場工法を導入するとどのようなメリットが生まれるのでしょうか。無足場工法の主なメリットは以下のとおりです。
足場代が節約できる
無足場工法の大きなメリットは、足場代が節約できるという点です。足場を設置する場合、設置費用だけでなく解体費用もかかります。足場代は全体費用のおよそ3分の1を占めるといわれているため、足場の設置と解体が不要になる無足場工法なら大幅な費用削減が期待できるでしょう。
テナントや居住者のストレスが軽減できる
足場を設置しない無足場工法は、ビルに入っているテナントや居住者のストレス軽減にもつながります。足場を設置すると太陽光が入りにくくなり、室内が暗くなりがちです。また、足場から第三者の侵入を許してしまう恐れもあるため、どうしても防犯面に不安が残ってしまいます。一方、足場をかけない無足場工法ならそのような心配はありません。
工期が短縮できる
足場の設置と解体が不要な分、工事期間が短縮できるのも無足場工法のメリットです。工事期間が長くなるほど、ビルのテナントや居住者に負担がかかります。できるだけ工事期間を短くしたい方は、無足場工法がおすすめです。
施工業者選びが大切なポイント
無足場工法でビルの外壁補修を行う場合は、施工業者選びが大切なポイントとなります。特に、ビルやマンションなどの大規模修繕は、無足場工法による外壁工事の実績が重要です。施工業者のホームページ等でこれまでどのような建物の外壁工事を行ってきたのか、しっかりとチェックしましょう。
無足場工法ならオフィスチャンプへ
どの施工業者に依頼すべきか悩んでいる方は、ぜひオフィスチャンプへご依頼ください。オフィスチャンプでは、ビルやマンションを中心に無足場工法による外壁工事を行ってきました。実績と経験のある作業員が担当するため、安心してご依頼いただけます。無料相談や無料見積もりも受け付けているので、ぜひ一度お問い合わせください。
5.ビルの外壁補修に関してよくある質問
ビルの外壁補修に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.外壁補修の主な種類は?
A.外壁補修の主な種類と修繕工事の周期を以下にまとめました。
- タイル外壁:約10~20年
- 外壁塗装:約10~15年
- コンクリート補修工事:約10~12年
- 鉄部の塗装工事:約5年
Q.近隣住民にも連絡はしたほうがいいのか?
A.ビルの外壁補修を行う場合は、テナントや居住者だけでなく近隣住民にもしっかりと告知する必要があります。特に、ビルは大がかりな工事になるので、車両の出入りや騒音などで近隣トラブルになる恐れがあるからです。トラブルを防ぐためにも、事前の連絡が必要になります。
Q.外壁補修を依頼する前にすべきことは?
A.正式に施工業者へ依頼する前に、外壁調査を行いましょう。外壁調査では具体的に外壁がどのような状態になっているのか、どこがどのように劣化しているのかなどを調べます。まずは外壁の状態を詳しく知ることで、より適切な内容で補修できるでしょう。
Q.ビルの外壁補修はいくらぐらいかかるのか?
A.費用相場は、約300万~1,500万円です。ただし、ビルの大きさや外壁の劣化状態などによって大きく異なります。階数ごとの費用相場を下記にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
- 3階建て:約300万~400万円
- 4階建て:約350万~500万円
- 5階建て:約450万~650万円
- 6階建て:約550万~800万円
- 7階建て:約650万~950万円
- 8階建て:約700万~1,200万円
Q.無足場工法が採用できないケースはあるのか?
A.安全面の理由から、14階以上のビルには無足場工法は採用できません。また、屋上の屋根が変わった形になっている場合、屋上に専用機器が設置できない恐れがあります。
まとめ
いかがでしたか? ビルの外壁補修は戸建て住宅よりも費用と時間がかかります。スピーディーかつ効率的に工事を終わらせるには、事前の準備と計画が必要です。また、低コストで外壁補修を行いたい場合は、無足場工法を採用する方法もあります。ビルとマンションを中心に外壁工事を行っているオフィスチャンプでは、無足場工法が可能です。ビルの外壁補修でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。