セラミック塗料は本当に優秀? メリット・デメリット・注意点
セラミック塗料をご存じでしょうか? 外壁塗装に使われる塗料ですが、どのような特徴やメリットがあるのか一般的に知られていないものです。ただ、外壁塗装は大切な家を守る重要な要素なのでしっかり基礎知識を持っておきましょう。
- セラミック塗料とは?
- セラミック塗料の3つのメリット
- セラミック塗料の5つのデメリット
- セラミック塗料を選ぶときの3つのポイント
- セラミック塗料を提案されたら確認したい6つのポイント
- セラミック塗料よくある5つの質問
この記事ではセラミック塗料について解説します。特徴や、メリット・デメリットなどを知っておけば、外壁塗装で塗料を選ぶときの参考材料になるでしょう。
1.セラミック塗料とは?
セラミック塗料とはどのような塗料かまずは理解しましょう。
1-1.セラミックが配合された塗料のこと
セラミック塗料とは、セラミックが配合された塗料のことです。セラミックは陶磁器全般を表します。もっと言えば、砂や石などの微粒子が配合された塗料です。また、正式名称としてセラミック配合塗料とも呼ばれています。
1-2.セラミック塗料には複数の種類がある
セラミック塗料にもさまざまな種類があります。まずベースとなる樹脂の違いが挙げられるでしょう。アクリル・ウレタン・シリコンなどベースの樹脂にセラミックを加えればセラミック塗料となります。また、配合するセラミックによって効果が変わるのもポイントです。大きく分けると、意匠性を高めるセラミック・断熱、遮熱効果があるセラミック・汚れにくくなるセラミックと3種類に分けられます。
1-3.定義が曖昧でベースにより機能性も変わる
セラミックは少しでも配合すればセラミック塗料と名乗ることができるため定義が曖昧です。ベースとなる樹脂に配合するものですから機能性や価格帯も幅が広くなります。また、同じセラミック塗料でもメーカーによって機能性が変わることも押さえておきましょう。このような理由で種類が多くなっているのです。
2.セラミック塗料の3つのメリット
セラミック塗料を選ぶときにはメリットをしっかり把握することが大切です。外壁に求める機能とメリットが合っているかどうかチェックしましょう。
2-1.汚れがつきにくい
セラミック塗料の特徴は汚れが定着しにくいことです。雨があれば汚れが水分と一緒に流れる機能性があります。汚れにくいその理由は、塗った塗料が固まってできる塗膜がポイントです。雨などの水分が塗膜を通して汚れの下に入り込むことで汚れが流れますが、このメカニズムを親水性と呼びます。セラミック塗料はその親水性の強さが魅力なのです。ただしセラミック塗料ならすべて強いとも限りません。セラミック成分の配合量で汚れのつきにくさに差が出ることは注意しましょう。
2-2.断熱・遮熱塗料は熱対策によい
セラミック塗料は断熱・遮熱性も優れています。夏や冬は1年の中でも建物内の温度調整が必要です。断熱性の高いセラミック塗料は太陽熱を塗膜にためる特徴を持っています。このことで、熱伝導率を抑える働きがあるのです。そのため、夏は涼しく、冬は暖かいという快適な住居環境を保(たも)てます。一方の遮熱性が高いタイプは、太陽光の紫外線を反射させる働きを持っており、建物内の熱の上昇を食い止めることができるのです。また、断熱・遮熱性が高ければ、エアコンや扇風機の使用による電力消費を食い止められます。そのため、光熱費の削減にも一役買ってくれるのです。
2-3.意匠性の高い製品もある
セラミック塗料の中には、意匠性を高めた製品もあります。主成分に砂や天然石などの固形物を加えることで、石材調といった色合いを演出できる塗料です。通常よりも立体感があり、建物全体のイメージを大きく変えることができます。
3.セラミック塗料の5つのデメリット
セラミック塗料を検討するときにはデメリットなども理解して総合的に検討しましょう。
3-1.ひび割れしやすい
セラミック塗料のデメリットはひび割れを起こしやすいことで、理由は塗膜が固いことが挙げられます。見方を変えれば、外壁の劣化をすぐに発見できるというメリットはあるでしょう。ただ、ひび割れを放置すると建物全体に悪影響を与える可能性があります。最初は小さなひび割れでもそこから外壁全体のひび割れにつながるリスクもあるので油断できません。湿気や水分などがひびから内壁まで入ると、内部が腐食するリスクが高まります。木材部分まで傷みが広がると建物が崩壊する可能性さえあるので注意してください。
3-2.他塗料と比べて単価は高い
セラミック塗料の機能性は優れていますが代わりに単価が高いのが特徴です。たとえば、石材調になる意匠性が高いセラミック塗料では、吹き付け工法しかできない専用の製品もあります。また、意匠性を高める塗料は上から仕上げを塗らなければ耐久性を高めることができません。また、吹き付け工法ではローラー工法と比べ、塗れない無駄な塗料が多く発生します。また、費用を考えてローラー工法を採用するとしても今度はイメージと異なる結果になることも多いのです。
3-3.塗るのが難しく職人の腕で結果が左右する
セラミック塗装は通常の塗料より職人の腕が試されます。配合されたセラミックを均一にするため、塗る前に十分かき混ぜなければなりません。塗料も伸びにくいため、水を混ぜて塗ることも多いのです。ただ、その際は用法を守らないと大きな失敗につながります。また、吹き付け工法も、ハケやローラーを使った塗装とは異なり職人の技術に仕上がりが左右されることが多いのです。吹き付け工法ではスプレーガンで塗装します。そのとき、圧力を見極めて微妙に調節しなければなりません。未熟な職人が行うと色ムラなどが生じるリスクが高まります。このため、セラミック塗料の経験や実績がある職人が必要なのです。
3-4.カラーバリエーションは少ない
セラミック塗装はカラーバリエーションが多くありません。セラミックが白いために淡い色しかできず濃い色を出すことができないのです。カラーセラミックを利用した物もありますが、金額は高めとなります。
3-5.耐久性はベースで決まる
セラミック塗料はベースとなる塗料で耐久性が変わります。セラミックは塗料に配合される成分ですから、塗料の耐久性を向上させるものではありません。たとえばセラミックが配合されたウレタン塗料でも、通常のウレタン塗料と耐用性が変わらないものもあります。また、100%セラミックで作られた塗料もないので注意してください。悪徳業者が多く使用する宣伝文句です。ただし、塗膜の表面が100%セラミックになる塗料はあります。ガラスコーティングと呼ばれるタイプで、耐用年数は高くなりますが非常に高価です。逆に少量のセラミックが配合されていることを理由に耐用年数が高いとアピールする業者も存在するので注意しましょう。
4.セラミック塗料を選ぶときの3つのポイント
セラミック塗料を選ぶときは基準を明確にしましょう。そうすると、本当に必要かどうかを見極められます。
4-1.耐用年数と価格をチェック
耐用年数を基準の1つにしてください。セラミックの配合率が多いから耐用年数が長いというものではありません。樹脂ベースがアクリルの場合は約3~5年・ウレタンは約5~7年・シリコンは約7~10年です。フッ素と無機は約15年~が一般的な耐用年数の目安となります。ただ、耐用年数が長いと塗り替えの回数も減少することは無視できません。また、価格も基準の1つとなります。基本的に、価格が安ければ耐用年数や機能性も低くなると考えてください。
4-2.求めている機能性があるか
セラミック塗料のどんな機能を求めているのかも考えましょう。夏や冬の光熱費を省エネにしたいときは、断熱・遮熱性に優れた塗料を選んでください。汚れや見た目を気にする人なら、特に汚れがつきにくさを高めたセラミック塗装を選んでもよいでしょう。
4-3.信頼できるメーカーか
塗料メーカーも大手から中小まで幅広くあります。外壁塗装業者に依頼するとき、どこのメーカーのセラミック塗料を使っているのか確かめたほうがよいでしょう。日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研が3大メーカーです。石材調仕上げになるセラミック塗料などもこの大手3社は取り扱っています。ただ、3大メーカー以外にも、山本窯業加工・菊水化学工業なども有名です。どのメーカーの塗料を使っているのか、また、商品名なども業者に聞いて、インターネットなどで情報を集めましょう。調べてもまったく出ないようなら注意したほうが無難です。
5.セラミック塗料を提案されたら確認したい6つのポイント
外壁塗装業者にセラミック塗料を提案されたときの注意点について解説します。確認をしなかったので後悔することにならないよう把握しておきましょう。
5-1.セラミックと配合されるベースの塗料
セラミック塗料を提案されたときはベースとなる主成分をチェックしましょう。セラミックが含まれていても、配合塗料によりグレードや耐用年数が変わるからです。セラミック塗料なら全部耐久性が高いのではなく、ベースとなる主成分に左右されます。特に耐用年数を求めるならベースの主成分は何か慌てずに業者へ確認しましょう。
5-2.見積もりを取る
見積もりを必ず取るようにしてください。そのためには、セラミック塗料の価格相場も理解しなければなりません。見積もりに不自然なことがあったら、業者に確認を取りましょう。
5-3.提案されてもすぐに決めない
業者による訪問販売でセラミック塗料を提案されることもあります。ただ、営業マンの話だけですぐに決めないほうが無難です。外壁塗装について深い知識を持った営業マンばかりではありません。中には、他業種から転職して最低限の知識しか持っていない状態で営業を行っている人もいるからです。本気で検討するなら、実際に施工をする人と直接打ち合わせをするとよいでしょう。
5-4.大げさなアピールをしないか
セラミック塗料は優秀な塗料ですが営業マンなどが大げさにアピールしないかどうかチェックしてください。「一度セラミック塗料を使えばまったく汚れず何十年もメンテナンスをしなくても大丈夫です」などと言うようでしたら業者自体を疑ってもよいでしょう。セラミック塗料より高額な塗料でもまったく汚れない物はありません。メンテナンスを何十年も行わなくていい物もありませんから注意してください。
5-5.メリットだけではなくデメリットも説明してくれるか
セラミック塗料を大げさにアピールするだけではなく、デメリットを質問しても「最高の塗料なのでデメリットやリスクはありません」という業者には注意が必要です。誠実で実績のある業者なら、デメリットもきちんと把握しています。デメリットを聞いてもはぐらかそうとするなら知識不足やウソをついている可能性があるので注意してください。
5-6.メーカーと品名をチェックする
セラミック塗料はメーカーやセラミックの配合量により得られるメリットが変わります。セラミック塗料なら、どのメーカーの商品でも断熱・遮熱性があると判断してはいけません。それぞれ得意な部分が変わってくるからです。「特に汚れに強いセラミック塗料がいい」「断熱性に優れているセラミック塗料がいい」など、自分の希望を業者に伝えてください。業者が提案してきたセラミック塗料のメーカーや品名をインターネットで調べれば情報を得られるので確認しましょう。
6.セラミック塗料よくある5つの質問
セラミック塗料でよくある質問についてお答えします。
Q.自社開発のセラミック塗料を提案されたけれど大丈夫?
A.塗装業者が独自で開発したセラミック塗料を提案されたときは注意してください。塗料の開発は非常に難しく時間もかかります。業者の中には自社開発と言って、実は安い塗料の名前を勝手に変えてオリジナル商品とウソをつくところもあるのです。安価だからと言って自社開発やオリジナルのセラミック塗料を選ばないようにしましょう。
Q.石材調セラミックを考えているけれど注意したいことはある?
A.意匠性の高い石材調仕上げでは他の塗料より必要な工程が多くなります。最後に上塗材を塗って表面を保護する必要があるのです。また、その分、値段も高くなるので注意しましょう。
Q.断熱・遮熱に強い塗料で信頼できる製品はある?
A.日進産業のガイナは人気があるセラミック塗料で、専門に扱う業者もあるほどです。空洞の球体であるセラミックビーズを採用しており、外壁と空気の間にバリアが作られます。この仕組みにより熱を制限して、建物内の暑さと寒さを軽くできる塗料です。
Q.セラミック塗料は1回塗るだけで十分に機能を発揮できる?
A.セラミック塗装に限らず、下塗り・中塗り・3回塗装を行うのが基本です。外壁塗装を行うときに、1回しか塗らず、複数回分の料金を請求する外壁塗装業者も残念ながらあります。業者には塗装回数をきちんと確認して依頼しましょう。
Q.悪質業者対策のために業界は対策を行っている?
A.セラミック塗料を販売するメーカーの中には技術指導など研修を受けなければ販売しない方針を取っているところもあります。それだけ難しい施工と言えるでしょう。セラミック塗料を提案されても、ホームページなどをチェックして、実績などをしっかりと確認することが大切です。
まとめ
セラミック塗料を検討するときは正しい知識を理解した上で選ぶのが無難です。セラミック塗料を塗っておけば大丈夫と油断していれば、悪質業者にだまされる危険性もあります。細かいところまで把握した上で、本当に信頼できる外壁塗装業者に相談しましょう。