
大規模修繕工事の内容は? 費用相場や業者に依頼する際の注意点などを解説
「大規模修繕工事はどのような内容なのか」「どのような流れで工事するのか」など、大規模修繕工事について悩んでいる方は多いでしょう。大規模修繕工事は大がかりな工事になるため、費用と工期がかかります。長期間に及ぶ工事になるからこそ、事前にしっかりと計画を立てて、各工程や見積書の内容を確認することが大切です。本記事では、大規模修繕工事の内容やポイントなどを解説します。
この記事を読むことで、大規模修繕工事の必要性や費用目安なども分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。
1.大規模修繕の目的と重要性は?
最初に、大規模修繕の目的と重要性をチェックしましょう。
1-1.マンションやビルなどの定期的修繕
大規模修繕は、マンションやビルなど大規模な建物を定期的に修繕することです。戸建て住宅とは異なり、マンション、ビル、商業施設などの大きな建物は修繕やメンテナンスが頻繁にできません。大規模修繕のタイミングや周期は各建物で異なりますが、12~16年程度の間隔で大規模修繕工事をするのが一般的となっています。定期的に大規模修繕を行うことで、建物の劣化進行が抑えられるのです。
1-2.劣化症状の早期解決
大規模修繕工事は、建物の劣化進行を抑えるだけでなく、劣化症状の早期解決も目的の1つです。定期的に大規模修繕工事をすることで、小さな劣化症状も見逃さずに対処できます。建物の劣化は放置すればするほど、工事内容が大がかりなものになるので注意が必要です。また、大規模修繕工事費用も高額になる恐れがあります。工事内容を最小限に抑えるためにも、計画的に大規模修繕工事を行うことが大切なポイントです。
1-3.性能・機能を元どおりにする
経年劣化や外的要因によって発生した不具合に対し、建物の性能と機能を回復させるのが大規模修繕工事の大きな目的です。不具合が生じている箇所をそのまま放置するとどんどん状態が悪化し、建物自体の耐久性が低下します。不具合を修繕することで、問題箇所の性能や機能が元どおりになるでしょう。建物自体をグレードアップすることが「改修」、問題箇所の修理が「補修」となりますが、「修繕」は建物の性能や機能を回復させるのが目的です。
2.大規模修繕工事の内容と工程をチェック!
ここでは、大規模修繕工事の内容と工程を解説します。
2-1.まずは外壁の調査から
大規模修繕工事のメインは外壁工事になるため、まずは外壁の調査を行うことになります。現在の外壁がどのような状態になっているのか、屋上に劣化症状が現れていないかなど、専用機器を用いて調べる方法です。外壁の状態を事前に確認することで、大規模修繕工事の目的や内容が明確になります。なお、調査における外壁と屋上のチェック項目は以下のとおりです。
外壁
- コンクリート・タイル面のひび割れ、浮き
- 鉄筋露出の有無
- 仕上げ材やシーリングの変退色
- 金属部の腐食状況
屋上
- 屋上防水のひび割れ、浮き、剝がれ、膨れの有無
- 漏水した痕跡の有無
- 塗膜の浮きや劣化
2-2.共有部分や外装の修繕
ビルやマンションなど大きな建物には、共有部分があります。エレベーターホールやベランダ、廊下といった共有部分の修繕も、大規模修繕工事の大切な内容です。共有部分が全体的に劣化していないかはもちろんのこと、手すりの修繕、塗装、床のシート貼りと防水工事など多岐にわたります。駐車場やエレベーターなど設備の修繕だけでなく、セキュリティー設備の修繕も大切なポイントです。
2-3.外壁洗浄と外壁塗装
前述したように、大規模修繕工事で大切な工事になるのが外壁洗浄と外壁塗装です。外壁洗浄では、外壁に付着している汚れをキレイに掃除します。外壁の汚れは美観が失われ、劣化の原因になるので早めの除去が必要です。外壁洗浄後は、外壁の美観と耐久性を取り戻すための塗装を行います。外壁塗装は外壁の内部(下地)を守る役割があるため、塗装が劣化すると機能や防水性が低下するのです。
2-4.防水工事
外壁の劣化からひび割れが起こり、そこから雨水が浸入すると雨漏りが発生します。建物内部に雨水が浸入すると、耐久性が著しく低下する恐れがあるので注意が必要です。雨漏りを防ぎ、建物の耐久性を維持するためにも、大規模修繕で防水工事を行う必要があります。防水工事の箇所は、雨水や紫外線の影響を受ける外壁・屋根だけでなく、ベランダや窓回りも必要です。なお、防水工事には、ウレタン防水やFRP防水、アスファルト防水などがあります。
2-5.大規模修繕工事の大まかな流れ
ビルやマンションなどの大きな建物では、どのような流れで大規模修繕工事を進めればいいのでしょうか。大規模修繕工事の大まかな流れは、下記を参考にしてください。
- 準備を進めるための大規模修繕委員会を立ち上げる
- 工事範囲や工事内容を選定するための事前調査を行う
- 大規模修繕工事の予算と計画を具体的に決める
- 施工会社を選び、正式に依頼する
- 工事の概要が決まりしだい、総会を開催し決議を取る
- 入居者やテナントに向けて工事説明会を開催する
- 総会の決議を得た後、施工業者と工事契約等を交わす
- 大規模修繕工事が始まる
- すべての工事が完了し、最終チェック後に引き渡しを受ける
大規模修繕工事は大掛かりな工事なので、しっかりと計画を立てるために修繕委員会を立ち上げる必要があります。なお、管理会社からのサポートだけで修繕計画を立てるケースもありますが、規模が大きい建物ほど設計施工監理のために、設計事務所といった外部専門業者を起用するケースがほとんどです。
3.大規模修繕工事の費用目安と予算の選定
ここでは、大規模修繕工事の費用目安と、予算の選定方法について詳しく説明します。
3-1.大規模修繕費用の目安は3,000万円前後
マンションの戸数やテナントの数などによって異なりますが、大規模修繕費用の目安は3,000万円前後です。大規模な建物や著しく劣化している場合は、3,000万円以上になる可能性もあります。なお、マンションだと一戸あたり約75万~125万円が目安です。設備の取り替えタイミングが重なることもあり、1回目の大規模修繕よりも2回目のほうが費用は高額になるといわれています。
3-2.修繕積立金が充てられる
大規模修繕工事の費用には、修繕積立金が充てられることになります。修繕積立金とは、マンションやビルの設備や外壁などの修繕費用を賄うために、居住者やテナントから毎月徴収するお金のことです。前述したように、大規模修繕工事は数千万円という高額な費用がかかるからこそ、入居者の協力が必要となります。修繕積立金を使用しても賄えない場合は、工事を延期するか、あるいは不足分を追加徴収したり、補助金を活用したりするなど対処法はさまざまです。
3-3.複数の施工業者に見積もりを依頼する
大規模修繕工事を予算内で行うためには、施工業者選びも大切なポイントです。大規模修繕工事に長(た)けている施工業者に依頼することで、予算内で必要な工事が行えるか検討してもらえます。逆に、大規模修繕工事に慣れていない施工業者へ依頼すると、必要な工事は行わず、不要な工事を行い費用をムダづかいする恐れがあるので注意が必要です。なお、複数の施工業者に無料見積もりを依頼しましょう。複数の施工業者に無料見積もりを依頼することで、だいたいの費用が把握できます。
4.工事後のメンテナンスと事例紹介
ここでは、工事後のメンテナンスと事例をいくつか紹介します。
4-1.工事後に起こりやすいトラブル
大規模修繕工事後に起こりやすいのは、施工不良による不具合です。施工業者が不適切な方法で修繕工事を行ったことが原因で、塗装がすぐに剝がれたり、ひび割れが起きたりすることがあります。そのようなトラブルを防ぐためにも、工事後のメンテナンスが必要です。優良の施工業者は、工事後にもアフターメンテナンスサービスを行っています。定期的に工事箇所をチェックしたり、不具合が起きた際にはすぐに対応してくれたりするので安心です。施工業者を選ぶ際は、アフターサービスが充実しているところを選びましょう。
4-2.施工事例紹介
では、オフィスチャンプで行った大規模修繕工事の一部をいくつか紹介します。
4-2-1.9階建てのビル塗装
9階建てのビルにて、途中階のパネル面を塗装したケースです。すべての塗装面が傷ついているわけではなかったので、部分塗装で予算内に抑えることができました。ただ、建物間の隙間が非常に狭かったこともあり、足場を設置できず、足場をかけない無足場工法で工事を進めていきます。最適な塗料を選定するため、メーカーの方にも見に来ていただき、万全の体制で塗装作業を終えました。
4-2-2.欠損部分を丁寧に修繕
築40年以上が経過しているビルを事前調査したところ、いたるところに雨漏りが発生しており、コンクリートの膨張と破裂も見られました。ひどい状態でしたが、まずは爆裂した鉄筋とコンクリートを修繕します。雨漏りの原因と雨水の浸入経路もしっかりと調べ、雨水が浸入しているひび割れ箇所にエポキシを注入し、浸入経路を塞ぎました。欠損箇所が多く、状態がひどくなるほど工程が増えるので、時間と手間もかかります。
4-3.大規模修繕工事ならオフィスチャンプへ
どの施工業者に依頼すべきか分からずに悩んでいる方は、ぜひオフィスチャンプへご依頼ください。東京と大阪を中心に外壁塗装とリフォーム工事を行っているオフィスチャンプは、ビルとマンションなどの大規模建物を対象としています。足場をかけない外壁リフォームを手がけているので、できるだけ費用を抑えたい方にもおすすめです。足場の設置と撤去費用は全体費用の約3分の1を占めているといわれています。無足場工法を用いることで、修繕費用の大幅な節約が可能というわけです。
5.大規模修繕工事に関してよくある質問
大規模修繕工事に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.大規模修繕工事のメリットは?
A.建物の老朽化を防ぐのはもちろんのこと、入居者やテナントの満足度を高められるメリットがあります。ビルやマンションの外観が劣化していると、それだけで「きちんと管理されていない建物」という印象を与えるでしょう。著しく劣化している建物からは人が離れていき、美観が保たれている建物にはどんどん人が集まります。
Q.工事期間はどのくらいか?
A.大規模修繕工事の計画から着手まで、約1~2年はかかります。大規模修繕工事に着手してから修繕工事完了までは、3か月~半年かかるでしょう。工事の内容や規模によって異なりますが、計画から工事完了までは約3年かかると思っておいてください。なお、大規模修繕工事をするためには、入居者やテナントの同意が必要になるケースもあるため、同意を得るのに時間がかかる可能性もあります。
Q.大規模修繕工事をする際の注意点は?
A.前述したように、大規模修繕工事は長期にわたるため、近隣への配慮が必要不可欠です。工事中は騒音や悪臭が原因で近隣トラブルへ発展する恐れがあります。実際に、大規模修繕工事による騒音トラブルが続出しているので注意が必要です。騒音対策を徹底したり、トラブル対策を立てたりすることが大切なポイントとなります。
Q.修繕積立基金とは?
A.マンションの購入時などに入居者が支払うものです。修繕積立基金(または修繕積立一時金ともいう)は修繕積立金と同じく、大規模修繕費用を賄う目的があります。修繕積立金だけでは賄えない可能性を踏まえた上で、最近では修繕積立基金として予算を確保するケースが増えてきているようです。
Q.施工業者選びのポイントは?
A.施工業者選びで押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- マンションやビルなどの大規模修繕に長けているか
- スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
- 無料見積もりや無料相談を受け付けているか
- 見積書の内容が具体的に記載されているか
- 口コミや評判がいいか
まとめ
いかがでしたか? 大規模修繕工事は建物の不具合や劣化箇所を修繕し、性能や機能を回復させることが目的です。だいたい12〜16年を周期に、大規模修繕工事を行うことになります。大規模修繕工事の内容は建物の状態によって異なるため、まずは外壁をメインに調査を依頼しましょう。事前調査をしっかりと行う施工業者なら、安心して大規模修繕工事を任せることができます。なお、オフィスチャンプでは無料相談や無料見積もりを受け付けているので、大規模修繕でお悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。