下地補修にはどんな種類があるのか? 依頼する方法や重要性を解説

「下地補修にはどんな種類があるのか」「なぜ下地補修が重要なのか?」など、下地補修について悩んでいる方は多いでしょう。下地補修をしっかりと行うことで、塗装がうまくいきますし、安全管理という意味で大きな効果をもたらします。重要性を把握すれば、下地補修がいかに大切か分かるでしょう。

そこで、本記事では、下地補修の重要性や種類などについて解説します。

  1. 下地補修の重要性は?
  2. 下地補修にはどんな種類があるのか?
  3. 下地補修を依頼する方法は?
  4. 下地補修に関してよくある質問

この記事を読むことで、下地補修を依頼する方法やポイントなども分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.下地補修の重要性は?

まずは、下地補修がなぜ重要なのか、基本情報をチェックしておきましょう。

1-1.建物は時間の流れと同時に劣化するもの

建築物は、時間の流れとともに劣化が生まれることをご存じでしょうか。建てたらおしまいというわけではなく、定期的にメンテナンス・点検を行うことで耐久性を維持し続けることができます。たとえ、外壁塗装がきれいになっていても、下地が劣化しているケースもあるのです。そうすると、せっかくきれいに塗装した外壁も劣化スピードが早くなってしまい、すぐに剝がれたりヒビが入ったりしてしまいます。つまり、下地は土台と同じなのです。土台がしっかりしていなければ、表面をきれいにしても効果が発揮されないことを覚えておきましょう。

1-2.建物の寿命を延ばす役割

下地補修は、建物の寿命を延ばす役割を担っています。前述したように、土台となる下地がきちんと整っていることでその上に塗装する塗料の効果も発揮できるものです。一般的に、下地補修工事はひび割れ・欠損・浮きなどを補修することになります。傷んでいる下地を補修することで、建物がより頑丈になり、耐久性もアップするのです。逆に、下地処理を行わないと、建物全体の寿命が早く迎えたり、耐久性が下がったりしてしまいます。日々の生活を送ることになる建物だからこそ、安心できる建物にしておきたいものです。

1-3.塗装や防水工事の仕上がりに影響する

ひび割れやタイルの浮きなどを補修することだけが、下地補修の役割ではありません。実は、下地補修は塗装工事・防水工事の仕上がりに大きく影響する工程だといわれています。どんなにいい塗料や防水材を使ったとしても、下地処理をきちんと行わなければそれらの効果が発揮できません。下地補修をきちんと行っていないのに塗装工事・防水工事をすると、施工不良になってしまい、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。建物の寿命を左右するだけでなく、塗装や防水工事の仕上がりに大きく関係するほど、下地処理はとても重要な工事です。

2.下地補修にはどんな種類があるのか?

それでは、下地補修にはどのような種類があるのでしょうか。主な種類を紹介します。

2-1.ひび割れの補修工事

下地補修工事で多いのは、ひび割れの補修です。ひび割れを放置すればするほど、そこから雨水が浸入してしまい、下地が激しく損傷してしまいます。最悪な状況にならないようにするためにも、早めのひび割れ補修工事が必要です。一般的に、ひび割れ補修は耐久性の回復が目的になるでしょう。なお、ひび割れの補修工法としては、以下のような方法があります。

  • 被覆工法:微細なひび割れの上からポリマーせんとモルタルや塗膜弾性防水材などで表面被覆を構成する工法
  • 注入工法:0.2mm以上のひび割れにセメント系や樹脂系の材料を注入する工法
  • 充填工法:1.0mm以上の大きなひび割れに適用することが多い。ひび割れに沿ってコンクリートの表面を約10mmの幅でU字型にカットした後、その部分に補修材を充填する工法

2-2.浮き・剥離の補修

ひび割れ補修と同じく、下地補修工事で多いのが、浮きや剥離の補修工事です。タイルやモルタルといった外壁仕上げ材は、経年劣化によって付着力が低下するので浮きが生じてしまいます。浮きを放置していると落下事故につながる危険性があるため、早急に対処しなければなりません。なお、補修方法の種類としては、外壁複合改修溝工法(ピンネット工法)とアンカーピンニング工法の2種類があります。外壁複合改修溝工法は全面的に補修し、アンカーピンニング工法は発生した浮きの部分だけ補修する工法です。

2-3.コンクリートの劣化には欠損爆裂補修

コンクリートの劣化が深刻化している場合に用いられるのが、欠損爆裂補修です。コンクリート構造物の欠損はさまざまな原因があるので、きちんとその原因を突き止めて適切な補修を行わなければなりません。特に、内部鉄筋の腐食膨張によってコンクリートが押し出している爆裂が発生した場合は、腐食鉄筋の補修を行った後で欠損部分を補修する必要があるでしょう。なお欠損部補修の方法としては、以下のような方法があります。

  • 鉄筋腐食の処理:鉄筋に発生しているサビを除去した後に防サビ材を塗り、欠損部分の断面修復を行う方法
  • 充填工法:欠損補修を行う前に、コンクリートのもろい部分を除去し、欠損を補修する方法。鉄筋が露出している欠損部などにはエポキシ樹脂モルタル、浅い欠損部にはポリマーセメントモルタルを充填する

2-4.中性化対策

中性化対策をしっかりと施しておくことも、下地補修の大切な工程です。コンクリートの場合、内部鉄筋の防サビには中世か対策によって、内部鉄筋位置のアルカリ性を確保しておかなければなりません。中性化が鉄筋位置まで達してしまうと、鉄筋の不動態皮膜が破壊され、鉄筋が腐食してしまう恐れがあります。最悪な場合、ひび割れから水が浸入したり、鉄筋腐食が進行してコンクリートが剝落したりすることもあるのです。なお、中性化対策としては、以下のような方法があります。

  • 劣化因子の遮断:アルカリ性が失われることになる二酸化炭素の侵入を防止する方法。躯体表面を塗膜防水材などで被覆したり、ひび割れの補修によって侵入経路をなくしたりする
  • 劣化速度の抑制:アルカリ性付与材を塗布・含侵させることによって、鋼材の不動態皮膜を保護・再生させる(表面含侵工法)
  • 劣化因子の除去:すでに中性化が進行したコンクリートの場合、アルカリ性を回復させる方法。アルカリ性溶液を躯体表面から鉄筋周辺まで電気浸透させる再アルカリ化工法などが用いられる

2-5.塩害対策

外部からの塩化物イオンを遮断したり、内部の塩化物イオンを除去したりする下地補修が塩害対策です。鉄筋位置での塩化物イオン濃度が限界値を超えてしまうと、不動態皮膜が破壊されては腐食が進行してしまいます。このような塩害を防ぐために、しっかりと対策を施しておかなければなりません。なお、塩害対策としては、以下のような方法があります。

  • 電気防食工法:塩害の劣化速度を抑制するために、内部鉄筋の腐食反応を停止させる工法。コンクリート表面に陽極材を設置し、コンクリート中の鋼材に防食電力を流す
  • 脱塩工法:建造物内部に含まれている塩化物イオンを除去する方法。コンクリート中の塩化物イオンをコンクリート外部に移動させる

3.下地補修を依頼する方法は?

ここでは、下地補修を依頼する方法とポイントを解説します。

3-1.下地補修を行っている専門業者に依頼する

一般的に、下地補修は外壁塗装・補修工事などを行っている専門業者へ依頼することになります。外壁塗装は塗料や道具などを用意すれば自分でもできることですが、下地補修は素人では困難な作業です。間違った下地補修をしてしまうと、さらに劣化状況が悪化してしまうので注意しておかなければなりません。専門業者は下地補修に関するスキルを持っている業者なため、安心して依頼できるでしょう。中には、不正を働く悪徳業者が存在しているので、後ほど業者選びのポイントも紹介します。

3-2.実績のある専門業者に依頼する

下地補修は、なるべく実績のある業者に依頼することが大切です。劣化状況をきちんと把握することで、適切な下地補修を行うことができます。さまざまなケースで下地処理を行ってきた専門業者は、ケースバイケースによって適切な補修工事をしてくれるでしょう。実績があるところほど、柔軟性と適応力を持っています。また、「ここはこのようになっているので、この方法で補修したほうがいい」と丁寧に説明してくれるものです。ホームページ等をチェックし、施工事例が記載されているかどうか確認してから依頼しましょう。

3-3.下地補修の費用は1㎡あたり数百円~3,000円

下地補修の費用は劣化状況や進行具合などによって異なりますが、目安は1㎡あたり数百円~3,000ほどです。あくまで目安となるため、もっと高くなる可能性もあります。主な下地処理の費用相場を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

  • 高圧洗浄:1㎡あたり200~300円
  • ケレン作業:1㎡あたり500~2,000円
  • コーキング補修:1㎡あたり500~1,200円
  • セメント補修:1㎡あたり1,500~2,500円
  • パテ埋め:全体で約10,000~20,000円

部分的に補修を行うのか、全体的に補修するのかによっても費用が変わります。具体的な費用が知りたい方は、複数の業者に無料見積もりを依頼するといいでしょう。複数の業者に依頼することで、だいだいの費用も分かります。

3-4.業者選びのポイントをチェック!

どの専門業者に依頼すればいいのか悩んでいる方は、以下のポイントに注目してください。

  • 下地処理や外壁塗装の実績があるか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • 無料見積もりや無料外壁診断を行っているか
  • 見積書の内容が具体的に記載されているか
  • 施工事例がホームページ等に記載されているか
  • 口コミや評判がいいか

足場をかけずに外装リフォームを行っているオフィスチャンプでは、無料相談を受け付けています。下地処理などでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

4.下地補修に関してよくある質問

下地補修に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.躯体の劣化症状とは?
A.主な躯体の劣化症状は、以下のとおりです。

  • クラック(ひび割れ)
  • モルタルの浮き
  • 鉄筋爆裂
  • 欠損

外壁にも現れる症状なので、常にチェックしておくといいでしょう。少しでも劣化症状が気になった場合は、そのまま放置せずに専門業者に相談することをおすすめします。

Q.EPC対火モルタルとは?
A.耐火性能を備えた補修材のことです。建物の構造安全性を高めるためには、耐久性だけでなく、耐火性も必要な要素となります。けれども、以前から使われているポリマーセメントモルタルでは十分な性能がありません。そこで、注目されているのがEPC耐火モルタルです。内部鉄筋位置の温度上昇緩和など、さまざまな性能が備わっています。

Q.ダイレクトシーツ工法はどんな工事か?
A.コンクリート・モルタル・サイディング・タイル・ALC等のひび割れに対して、専用の機器を使いながら弾性エポキシ樹脂を注入する方法です。VカットやUカットが必要ないため、躯体を傷つけずにひび割れの内部まで深く充填することができます。弾性エポキシ樹脂は弾性だけでなく、追従性と密着性に優れているので漏水原因の可能性があるひび割れでも可能です。

Q.ヘアークラックの場合、最適な工法は?
A.フィーラー刷り込みが最適です。フィーラー刷り込みは、ヘアークラックが生じやすいモルタル外壁に用いられる工法となっています。ヘアークラックの部分にフィーラーを塗り込み、ひび割れを埋めていく流れです。フィーラーは厚みで塗る必要があるため、技術を要します。

Q.費用を安く抑えるコツは?
A.早めに下地補修を行うことです。劣化状態を放置すればするほど、どんどん状況が悪化してしまいます。その結果、早めに補修しておけば安く抑えられた補修でも、時間が経過しているので大がかりな補修工事になってしまうのです。費用を安く抑えるためには、なるべく早めに補修を行うべきといえるでしょう。

まとめ

下地補修には、ひび割れ・浮き・剥離の補修や欠損爆裂補修などがあります。下地処理をきちんと行うことで土台がしっかりするため、塗装や防水加工など効果を発揮できるのです。下地処理を行わずに外壁塗装をしてしまうと、すぐに劣化したり塗装が剝がれたりしてしまいます。下地補修をしてもらいたい際は、なるべく実績のある業者に依頼することも大切なポイントです。

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