アクリル塗料の特徴は? 塗装に向いている場所や種類、使用時の注意点も

DIYなどで幅広く使用されているアクリル塗料は、費用が安くカラーバリエーションが豊富というメリットがあります。ただし、紫外線に弱く劣化が速い・塗り替えサイクルが短いなどのデメリットもあるので注意が必要です。アクリル塗料が気になっている方は、まず、特徴をしっかりと把握しておく必要があります。

本記事では、アクリル塗料がどんな場所の塗装に向いているのか・ほかの種類との違いなどについて解説しましょう。

  1. アクリル塗料の特徴・ほかの種類との違いは?
  2. アクリル塗料が向いている塗装場所
  3. アクリル塗料を使用する際の注意点
  4. アクリル塗料に関してよくある質問

この記事を読むことで、アクリル塗料を使用する際の注意点などが分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.アクリル塗料の特徴・ほかの種類との違いは?

最初に、アクリル塗料の特徴や、ほかの塗料との違いについてチェックしておきましょう。

1-1.アクリル樹脂を混ぜた塗料

アクリル塗料は1950年ごろから開発・製造が始まった、アクリル樹脂を主成分とする塗料です。開発・製造が始まったばかりのころは、アクリル塗料の発色の良さが画期的で、人気を集め幅広く普及されていました。しかし、現在はウレタン樹脂塗料やアクリルシリコン樹脂塗料といった高性能な塗料が出てきていることもあって、現在の需要は少なくなっています。それでも、安価で購入できる・カラーバリエーションが豊富という長所から、DIY塗料として人気です。使用用途や使用箇所によっても、アクリル塗料がほかの塗料よりも適しているケースがあります。

1-2.素人でも使いやすく費用が安い

アクリル塗料の大きな特徴は、使いやすい点です。アクリル塗料の多くが1液型となっており、DIYでも多く使われている塗料といえるでしょう。1液型とは主剤だけの塗料で、2液型には主剤と硬化剤の2つが混ざっています。また、旧塗膜がアクリル塗料を使っていた場合、シーラーレスでも塗装でき重ね塗りに手間がかかりません。さらに、前述したようにカラーバリエーションが豊富なこと・費用が安い点も大きな特徴です。よく使われるシリコン塗料は1㎡あたり2,300~3,000円ですが、アクリル塗料は1㎡あたり1,200~1,800円と塗料コストを抑えることができます。

1-3.紫外線に弱く劣化が速い

アクリル塗料は長所だけでなく短所もあります。大きな短所としては、紫外線に弱い点が挙げられるでしょう。紫外線によって劣化因子となるラジカルが発生しやすく、塗料の組織が破壊されやすい傾向があります。そのため、ほかの塗料よりも劣化の進行が速いので塗り替えサイクルも短めです。ほかの塗料と比較しても、耐用年数が約5~7年と短いため、頻繁な塗り替えが必要になるでしょう。場所によっては数年で塗膜の光沢が失われ、色あせや変色が目立つようになります。さらに、塗膜が硬くひび割れが起きやすい点も短所の1つです。アクリル樹脂は常温では硬くなるため、やわらかくさせるために可塑剤が加えられています。しかし、この可塑剤が紫外線によって3~5年で少しずつ抜けていってしまうのです。

1-4.ほかの塗料との違いをチェック!

塗料の特徴をしっかりと把握しておけば、最適な場所で正しい使い方ができるようになります。アクリル塗料とほかの塗料との違いも、きちんとチェックしておきましょう。主な塗料の特徴は以下のとおりです。

  • ウレタン塗料:密着性や男性に優れている。耐用年数は8~10年、費用は1,800~2,200円/㎡
  • シリコン塗料:外壁塗装に使われている。耐用年数は10~15年、費用は2,500~3,200円/㎡
  • フッ素塗料:フッ素樹脂が主成分の塗料。耐用年数は15~20年、費用は3,500~4,500円/㎡
  • 無機塗料:鉱物などの無機物を配合している。耐用年数は18~22年、費用は3,560~円/㎡

2.アクリル塗料が向いている塗装場所

ここでは、アクリル塗料が向いている塗装場所をいくつか紹介します。

2-1.アクリル塗料は屋内向き

紫外線に弱く、耐候性が劣っているアクリル塗料は、屋外よりも屋内向きの塗料といえるでしょう。前述したように、紫外線など外的刺激の影響を受けると、劣化が速くなってしまいます。昔に登場したときは画期的な塗料だったので外壁塗装にも使われていましたが、現在はほとんど使われていません。紫外線などの外的刺激を避けるために、内部塗装に使われるケースがほとんどでしょう。屋内にアクリル塗料を使うと、家具など長く使い続けることができるメリットがあります。

2-2.内装や木製建具に最適

アクリル塗料の特徴を踏まえると、内装や木製家具に最適の塗料といえるでしょう。紫外線など外的刺激を受ける心配はありませんし、内装や家具に使うことでツヤのあるきれいな状態を維持し続けることができます。アクリル塗料はほかの塗料と比較してコストが安いため、素人でもDIYで気軽に使うことができるでしょう。カラーバリエーションも豊富なので、多くの種類の中から自分好みの色を選択するのも可能です。さらに、簡単に重ね塗りできる魅力もあります。すでに、ほかの色が塗られている木製建具でも自分の好きな雰囲気に仕上げられるのは、うれしい要素なのではないでしょうか。

2-3.耐久年数内に取り壊す場所

5~7年以内に解体する予定のある場所なら、アクリル塗料を使っても問題ありません。アクリル塗料の耐用年数範囲内であれば、性能を重視するよりも費用を重視したほうが効率的です。数年で解体する場所に高耐久の塗料を使用するとお金が無駄になってしまいます。解体するけれど汚れが気になる……という方は、低コストで美しい仕上がりが期待できるアクリル塗料がおすすめです。ほかの塗料よりも安価なアクリル塗料でも、十分なパフォーマンスを発揮します。

2-4.趣味にも活用できる

アクリル塗料は、小物づくりなど趣味においても最適な塗料です。安価でカラーバリエーションが豊富にそろっているため、気軽にさまざまなカラーを楽しむことができます。たとえば、プラモデルやドールハウスなどがあるでしょう。アクリル塗料を趣味で活用している方は多く、使い勝手の良さはもちろん、色を合わせやすいというメリットもあります。また、アクリル塗料はホームセンターでも手頃価格で購入できるため、自分だけのオリジナルカラーを作る方もいるほどです。ぜひさまざまなカラーを試してみてはいかがでしょうか。

3.アクリル塗料を使用する際の注意点

ここでは、アクリル塗料を使用する際の注意点をいくつか紹介します。

3-1.塗膜の劣化状況によっては重ね塗りができない

アクリル塗料は重ね塗りができて手間がかからないメリットがありますが、塗膜の状態によっては重ね塗りができないケースがあります。たとえば、塗膜が激しく劣化しているケースです。塗膜が激しく劣化している場合は、下地補修を行う必要があります。きちんと下地を補修してから塗料を塗らないと、すぐに塗装が剝がれるからです。そのまま重ね塗りをすることで、塗り直さなければならなくなってしまいます。2度手間にならないようにするためにも、きちんと塗膜の状態を確認することが大切です。

3-2.こまめなメンテナンスが必要

前述したように、アクリル塗料は耐用年数が短いため、こまめに塗り直しやメンテナンスを行う必要があります。ほかの塗料と同じ頻度でメンテナンスをするのはNGです。中には、「メンテナンスをするのが面倒」と放置する方がいますが、放置すればするほど劣化が激しくなり、修繕費用が高くなってしまいます。アクリル塗料の耐用年数は約5~7年となっているため、その期間中にメンテナンスを行ってください。メンテナンス頻度を抑えたい方は、ほかの塗料を使うことをおすすめします。

3-3.屋根には使わない

アクリル塗装は屋外に向いていないと説明しましたが、特に屋根の使用には注意が必要です。一般的に、屋根の塗装には使わないほうがいいでしょう。屋根は建物の中でも紫外線の影響を受けやすく、塗装の劣化が激しい箇所です。塗装を施して5年持つ塗料であったとしても、環境が激しい屋根の塗装に使ってしまうと耐用年数がさらに短くなる恐れがあります。屋根の塗装はできるだけ耐久性の良い塗装を使わなければなりません。屋根の塗装が耐久性を失ってしまうと、屋根自体が劣化し雨漏りにつながる恐れがあります。外壁にアクリル塗料を使う場合も、屋根だけは耐久性の高い塗料を使ってください。

3-4.悪徳業者の手抜き工事に要注意

アクリル塗料は塗料自体が安く気軽に使える魅力がありますが、その安さを悪用して手抜き工事に使う悪徳業者が存在しています。アクリル塗料より高い塗料の金額を請求し、実際にはアクリル塗料を使うという手法です。素人では、どんな塗料を使っているのか見極めるのが困難なため、悪徳業者に引っかからないように注意しなければなりません。手抜き工事を防ぐためにも、工事に入る前に塗料を見せてもらったほうがいいでしょう。また、見積もりの際に金額をチェックすることも大切なポイントです。

4.アクリル塗料に関してよくある質問

アクリル塗料に関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.アクリル塗料の大手メーカーは?
A.日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研などがあります。アクリル塗料は全部のメーカーが同じというわけではありません。大手メーカーによってもさまざまな違いがあり、メーカーの中でも使用場所によってアクリル塗料の種類が異なります。大手メーカー以外にも多種多様のアクリル塗料が販売されていますが、大手メーカーのほうが最も信頼性が高いので安心して使うことができるでしょう。

Q.アクリル樹脂塗料の種類は?
A.溶剤型アクリル塗料とアクリルエマルション塗料の2種類があります。アクリル樹脂はアクリル酸やメタクリル酸誘導体が含まれており、設計の自由度が大きい点がメリットです。無色透明・光沢・耐候性・耐水性などに優れています。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 溶剤型アクリル塗料:耐候性・耐水性・耐アルカリ性・耐油性に優れており、コンクリート生地の上塗りや床用塗料として使われている
  • アクリルエマルション塗料:アクリル酸エステルなどのモノマーを水中で乳化重合させたエマルションポリマー。塗料のほかにも接着剤・家電用フィルターなどで展開されており、建築用の水系塗料として使用されている

Q.弾性アクリル塗料とは?
A.ゴムのように伸びて下地の動きをある程度カバーしてくれるアクリル塗料です。たとえば、ひび割れが起きやすいモルタル壁の場合、塗料層が弾性アクリル塗料によって形成されている層なら、ひび割れを防ぐことができます。基本的な耐候性に関してはアクリル塗料とほぼ同じで、伸びる力を若干抑えた微弾性塗料なども使用可能です。

Q.ピュアアクリル塗料とは?
A.アクリル樹脂の中でも純度が高い塗料のことです。希少価値があるといわれており、一部のメーカーしか取り扱っていないというデメリットがあります。基本的に、アクリル塗料は耐用年数が5~7年と短めですが、ピュアアクリル塗料は15~20年と長く保ち続けることが可能です。けれども、日本の大手メーカーは作っていないので信頼性に欠ける・価格が高いというデメリットがあります。

Q.業者選びで押さえておきたいポイントは?
A.どの業者に依頼すべきか悩んだときは、以下のポイントに注目してください。

  • 外壁塗装などの実績があるか
  • 無料見積もりや無料相談を受けつけているか
  • 見積書の内容が具体的に記載されているか
  • 実際に依頼した人の口コミや評判がいいか
  • 料金体系が明確になっているか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか

外壁リフォームを中心に行っているオフィスチャンプでは無料相談を受けつけています。外壁塗装やアクリル塗料でお悩みの方は、ぜひ1度ご相談ください。

まとめ

アクリル樹脂を主成分とするアクリル塗料は、外壁塗装でよく使われる塗料の1つです。費用が安くカラーバリエーションが豊富で、DIYなどでも使いやすいメリットがあります。けれども、紫外線に弱く劣化が速い・ヒビ割れが起きやすい・塗り替えサイクルが短い点がデメリットです。使用する際は、デメリット点もきちんと踏まえた上で使わなければなりません。また、外壁塗装を依頼する業者の腕にも左右されるところがあるため、信用できる業者を慎重に選ぶことが大切です。

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