
屋上の防水工事は必要? 方法や防水塗料の種類・業者選びについて
屋根や外壁などの建造物の外まわりは、時間の経過とともに亀裂やヒビが入ります。亀裂やヒビから雨水が浸入することで、建物の大切な部分である鉄骨や鉄筋・木材が傷み、建物の寿命を縮めてしまうのです。雨水の浸入を防ぎ、建物を長続きさせるためには防水工事が必要だといわれています。しかし、どうすれば屋上の防水工事ができるのか、悩んでいる方は多いでしょう。
そこで、本記事では、防水工事の基礎知識やチェックポイント・方法・業者の選び方について説明します。
この記事を読むことで、屋上の防水工事を正しく行うために必要な知識を身につけることができます。検討中の方はぜひチェックしてくださいね。
1.防水工事の基礎知識
防水工事を行う前に、必要な基礎知識を身につけておかなければなりません。工事の内容や必要性・メリットについて説明します。
1-1.防水工事とは?
防水材料を使用して、コンクリート構造物の地下室や屋上・屋根、室内床、水槽類などに防水・防湿のために行う工事を「防水工事」といいます。雨水にさらされる部分を防水処理することで、建物内部に水が浸入するのを防ぐのです。
1-2.防水工事の必要性
建物外部から室内への水の浸入を防ぐためには、「水が存在すること」「水が通過するすき間があること」「水を移動させる力が働くこと」の3つの条件のうち、いずれか1つを取りのぞくことが大切です。3つの条件がそろってしまえば、室内に水が浸入し、カビや腐朽菌(ふきゅうきん)が繁殖することになります。カビと腐朽菌は、建物の老朽化につながり、耐久性が弱くなってしまうのです。地震などの自然災害に弱い建物となるため、早めの対応が必要となります。
1-3.防水工事のメリット
防水工事は、雨水の浸入を防ぐだけでなく、家の耐久性をアップさせることができます。耐久性を保っている下地や柱の老化を防げるため、家の寿命を延ばすことにつながるのです。安心・安全に暮らし、家全体を守るためには、防水工事が必要となるでしょう。
2.屋上の防水工事について
それでは、屋上の防水工事についてお話します。必要性や防水工事のメリット・デメリット、工事のタイミング、定期点検の必要性、耐用年数、一戸建てと集合住宅の違いについて詳しくチェックしていきましょう。
2-1.必要性
建物の屋上・屋根防水は、とても重要な部分だといわれています。なぜなら、屋上防水することで、雨水から建物を守っているからです。雨水が直接当たる部分でもあるため、防水機能が低下するほど建物内に水が浸入しやすくなってしまいます。
2-2.防水工事のメリット・デメリット
屋上の防水工事は、雨水を防げることが最大のメリットといえるでしょう。長期にわたって保護する防水材の役割は大きく、建物を雨漏りから守り寿命を延ばすメリットを持っています。逆に、防水工事を怠れば、建物の耐久性が低くなり、寿命も短くなってしまうのです。すぐに雨漏りが発生したり、地震などの自然災害に弱くなったりと、さまざまなデメリットが出てくるでしょう。
2-3.工事のタイミングは?
雨漏りがしている場合、雨水が浸入している証拠となるので早めの工事が必要です。できれば、雨漏りが発生する前に工事を終わらせておかなければなりません。また、防水工事は春と秋にすると良いでしょう。なぜなら、冬場は防水塗料が乾燥するまでに凍結・結露してしまい、夏場は暑い日差しが続くので防水シートがダメになってしまうからです。天候が穏やかで塗料が乾燥しやすい春・秋がベストな時期でしょう。
2-4.定期点検の必要性
雨水の浸入を未然に防ぐためには、定期点検が必要です。また、定期点検を行っておけば、雨漏りしやすい部分が発見でき、素早く対処することができます。定期点検を行わずに発見が遅れると、長期にわたり建物内に水が浸入し続け、劣化を早めてしまうのです。また、防水の効果は約10~15年といわれているため、定期的に点検を行いましょう。
2-5.耐用年数について
屋上・屋根に使われている素材・塗料によって耐用年数が異なります。日本でよく使われている素材と耐用年数を以下にピックアップしたので、ぜひチェックしてください。
- 日本瓦:50~100年
- ガルバリウム鋼板:30~50年
- 洋瓦・セメント瓦:30~40年
- スレート:20~25年
- 陸屋根(りくやね)・FRP防水:10~13年
2-6.一戸建て・集合住宅の違いとは
集合住宅は、1つの建物内に複数の部屋があり、たくさんの人が住んでいます。屋上部分の範囲も一戸建てより広いため、どこから雨水が浸入しているのか判断しにくいところがあるのです。さらに、一戸建てよりも集合住宅の防水工事のほうが、時間と手間がかかります。共有部分以外の場所から雨漏りしている場合は、その部屋の住人が費用を支払わなければなりません。しかし、屋上は共有部分となるため、管理人が負担することになります。
3.屋上の防水工事~チェックポイント
屋上の防水工事をすべき場合やチェックリスト・注意点について説明します。
3-1.すぐに工事すべき場合とは
雨漏りが発生している場合は、すぐに工事をしてください。雨水の浸入を放置するほど、建物の劣化につながります。防水工事を行っている業者に連絡して、雨漏りの原因や状況を把握しなければなりません。「まだ少ししか雨漏りしていないから大丈夫」と思わないように注意してくださいね。また、耐用年数が近づいてきたころも、防水工事が必要です。耐用年数が経過している屋上の素材は、役割・機能が働いていない可能性があるので業者に確認を依頼してください。
3-2.チェックリスト
屋上の防水工事が必要かチェックしたいときは、以下の項目を目安にすると良いでしょう。
- 雨漏りをしている箇所がある
- 屋上のメンテナンスを行っていない
- 耐用年数を経過している
- 防水層に浮きがある
- 塗膜が隔離している
- 屋上に藻やコケが出てきた
- 表面にヒビ割れが発生している
以上の項目に当てはまる場合は、防水工事が必要です。
3-3.注意点
「費用がかかるから」と、防水工事を先延ばしにしてはいけません。放置する期間が長くなるほど状態が悪化し、防水・修繕工事にかかる費用も高くなってしまいます。雨漏りが発生する前に工事を行うことで、建物の耐久性の維持保全や工事にかかる費用も節約できるのです。
4.屋上の防水工事~主な方法
それでは、屋上の防水工事の種類や流れ・水漏れチェックの必要性・大まかな工期・費用について説明します。
4-1.防水工事の種類
防水工事は、防水シートを貼りつける「シート防水工法」・塗料を塗る「塗膜防水工法」・塗ると貼るを組み合わせた「アスファルト防水工法」の3種類があります。それぞれの特徴を以下にまとめましたので、ぜひチェックしてください。
- シート防水工法:膜状となっているシートを貼りつける工法。合成ゴム・塩化ビニル・ポリオレフィンなど
- 塗膜防水工法:液状の樹脂類を使用して防水加工を施す工法。ウレタンゴム・アクリルゴム・FRP・ゴムアスファルト・セメントなど
- アスファルト防水工法:アスファルトを使用する工法。熱工法・トーチ工法・常温工法がある
4-2.防水塗料の種類
代表的な防水塗料は、ウレタン・シリコン・浸透吸水防水・ERP防水の4種類です。それぞれの特徴を以下にまとめたので、ぜひチェックしてくださいね。
- ウレタン:最も主流になっている塗料。塗り重ねができ安価だが、紫外線に弱い
- シリコン:耐熱性・耐候性に優れており、汚れがつきにくい。比較的高価で弾性に劣る
- 浸透吸水防水:内部に深く浸透でき、耐久性の高い塗料。費用が高め
- ERP防水:耐候性に優れ、短期間の工事で終わる。紫外線に弱く、伸縮性が乏しい
4-3.防水工事の流れ
防水工事の流れは、屋上の状況や環境・施工範囲などによって異なります。そのため、まずは、屋上の状況を確認しておかなければなりません。あくまで目安となりますが、大まかな防水工事の流れを以下にまとめましたので参考にしてください。
現場確認から工事開始までの流れ
- 現場確認・診断を行う
- 状況に適した工法と塗料の提案・見積書の確認
- 見積もり内容に納得した後、契約→工事開始
防水工事開始から完了までの流れ
- 工事箇所を高圧洗浄で掃除する
- 内部が傷んでいる場合は、下地処理を行う
- 塗膜形成までの防水効果を高めるために、養生シートを貼りつける
- 防水層をつくり、保護層の上塗りをした後、完全に乾燥したら工事完了
4-4.水漏れチェックの必要性
防水工事を始める前に、必ず、水漏れチェックをしておかなければなりません。水漏れチェックは、状況に適した工法と塗料を選び、起こり得る水漏れを防ぐための大切な作業です。また、水漏れの原因を突き止めることができます。正しい防水対策をするためにも、水漏れチェックをきちんと行う業者に依頼しましょう。
4-5.工期の目安
防水工事が完了するまでの日数は、範囲・状況・工法・環境によって異なります。一戸建ての場合は、約1~2日で終わるケースがほとんどです。マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、一戸建てよりも長くかかるので、約1~2か月を目安にしていたほうが良いでしょう。オフィスビルや大規模マンションは数か月かかることもあります。
4-6.費用について
ほとんどの業者は、1㎡当たりの単位で費用を算出しています。平均費用は、1㎡当たり3,000~8,000円程度です。施工範囲だけでなく、工法・塗料によっても異なるため、契約前に見積もり内容を細部まで確認してください。分からない点や疑問点があれば、その場で尋ねたほうが良いでしょう。
5.屋上の防水工事~業者の選び方
屋上の防水工事をどの業者に依頼すべきか、多くの方が悩む点です。ここでは、選び方のポイントや見積もりと無料診断、保証・アフターフォロー、トラブル・注意点について説明します。
5-1.選び方のポイント
業者選びで悩んだときは、以下のポイントに注目してください。
- 丁寧でスピーディーな対応
- 無料見積もり・無料相談ができる
- ホームページに実例を紹介している
- 無駄な費用を削減できる・低費用で工事が可能
- 外壁工事や防水工事に力を入れている
- きちんとした見積書を提示してくれる
特に、注目してほしいのが、実績と経験です。防水工事の実績があり、豊富な経験を持っている業者なら、どのような状況でも適した工法で対処できます。丁寧な説明をしてくれるか、工事前にきちんと診断を行ってくれるか、細部までチェックしましょう。
5-2.見積もりと無料診断について
見積書は、どんな作業にいくら費用がかかるのか、具体的に記載している書類です。詳しく記載されていない・尋ねても説明してくれない業者は信用できません。見積もりに不備がないかどうか、必ず確認してくださいね。また、無料診断を行っている業者もあります。無料で現場をチェックしてくれるので、利用してみてはいかがでしょうか。
5-3.保証・アフターフォロー
保証・アフターフォローが充実している業者に依頼すれば、施工後のトラブル・不具合でも無償で対応してくれます。ホームページに保証内容が記載されていない場合は、電話またはホームページのフォームから問い合わせてみてください。
5-4.トラブル・注意点について
「施工後に雨漏りが発生した」「見積もり内容とは違う料金を請求された」など、業者との間でトラブルが多発しています。外壁や屋上工事は、手抜きしやすい傾向があるため、きちんと優良業者と不良業者を見極めなければなりません。口コミや評判をチェックしたり、複数の業者を比較したりして、安心して依頼できる業者を見つけましょう。
6.屋上の防水工事に関してよくある質問
屋上の防水工事に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
6-1.工法・塗料の選び方が知りたい
防水工事について詳しくない素人では、適切な工法・塗料の選び方が分かりません。その場合は、業者と話し合いながら、工法・塗料の基礎知識を身につけてください。種類によってメリットやデメリットがあるため、業者の説明を受けながら理解を深めることが大切です。
6-2.FRP防水の詳細が知りたい
「Fiber Reinforced Plastics(ファイバー・リインフォースド・プラスチック」の略称が、FRP防水です。繊維で強化したプラスチックのことであり、一戸建て住宅のバルコニーなどに使われています。軽量で耐水性・耐久性に優れている点が特徴です。
6-3.近隣に迷惑をかからないようにするためには?
優良業者は、近隣への配慮もきちんと行っています。塗料が飛ばないように養生シートを活用したり、ガードマンを配置したりするなどして、安心・安全な作業を心がけているのです。心配な方は、その旨についても業者に相談すると良いでしょう。
6-4.工事費用を抑えたい……どうすべきか?
できるだけ、早めに防水工事を行うことが費用節約につながります。また、必要最低限の施工を心がけている「オフィスチャンプ」は、部分工事が可能で、コストの削減に力を入れている業者です。打ち合わせの上で安心施工を行っているので、ぜひ1度相談してみてはいかがでしょうか。
6-5.トラブルになったときの対処法が知りたい
万が一、業者との間でトラブルになったときは、すぐに国民生活センター・消費者センターに相談してください。1人で悩みを抱え込んでしまいがちですが、相談したほうがスムーズに解決できます。
まとめ
屋上の防水工事は、雨水の浸入を防ぐだけでなく、建物全体の耐久性アップにもつながる大切な作業です。耐久年数は約10~15年といわれているため、定期的にメンテナンスを実施していかなければなりません。メンテナンスは、雨漏りの早期発見にもつながります。また、工事費用が高くなる……と戸惑う方もいますが、コスト削減に力を入れている業者もあるので安心してください。複数の業者を比較して、サービスや見積もり内容・施工実績に納得できる業者を見つけましょう。基礎知識を身につけておけば、スムーズに防水工事を行うことができますよ。