外壁塗装に珪藻土を使いたい。そのメリット・デメリットとは?

家を建てるときに、外壁材の種類の多さに驚かれた方も多いでしょう。
昔は一戸建ての外壁というとモルタルが主流でしたが、今はサイディングボードだけでもいろいろな種類があります。
その一方で自然素材の外壁も人気です。
そこで今回はそんな自然素材の一種珪藻土を外壁塗装に使うメリットとデメリットをご紹介します。
珪藻土は内壁にも使われることの多い壁材ですが、「自然素材の方が体によさそう」という理由だけで選ぶと後悔するケースもあるのです。
これから家を建てたり外壁を塗り替えたりする計画がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

  1. 珪藻土とは?
  2. 珪藻土外壁のメリット・デメリットとは?
  3. 珪藻土を使った外壁塗装が向いている家とは?
  4. 珪藻土を外壁塗装に使いたい場合は?
  5. おわりに

1.珪藻土とは?

珪藻土とは、珪藻という植物性プランクトンの一種の死骸が化石化したものが水底に堆積し、泥土化したものです。
湖や海の底から取れるもので、昔から耐火れんがや火鉢などに加工されたり、脱臭剤や吸着剤として利用されてきたりしました。
珪藻土は元々が植物の死骸ですから、水分や酸素を通す穴が無数に開いています。
これが、珪藻土の大きな特徴です。
珪藻土はその穴を通して湿気を吸収したりはき出したりします。
「呼吸をする壁」という言葉を聞いたことはありませんか?
珪藻土は、乾燥しているときにためこんだ湿気をはき出し、湿度が高いときに再び湿気を吸収します。
このサイクルが、呼吸に例えられているのです。
また、吸収するのは湿気だけではありません。
臭いや音も湿気と同じように無数に開いた穴から吸収して中に閉じこめてしまうのです。
ですから、昔はビールやワインをろ過するのに珪藻土が使われていました。
つまり、天然の加湿器、脱臭剤、防音壁なのです。
また、珪藻土は天然素材ですからシックハウス症候群などになることもありません。

2.珪藻土外壁のメリット・デメリットとは?

さて、自然素材として人気の高い珪藻土ですが、それを使って外壁塗装を行うメリット・デメリットは何でしょうか?
この項で、その一例をご紹介します。
自然素材だからよい、と思いこむと後で後悔するかもしれません。

2-1.珪藻土で外壁塗装をするメリットとは?

珪藻土で外壁塗装を行うと、高い防火性と防音性、それに調湿機能を備えた外壁になります。
昔は、蔵の外壁はしっくいや珪藻土で塗装されていました。日本の家は紙と木でできていますので、一度火事が起こるとすべてが燃えてしまうことも珍しくありませんでした。
ですから、貴重品を収納する蔵の外壁にしっくいや珪藻土にすることで、防火壁にしたのです。
江戸時代の文献には、大火事があっても蔵だけは焼け残ったという記述がたくさん残されています。
また、しっくいがなめらかなに塗れるのに対し、珪藻土は塗ると「ゆず肌」といって自然の凹凸ができるのです。
それに味があると好む方も少なくありません。
特に、和風建築にはぴったりです。
また、珪藻土の色はベージュから薄いモスグリーンをしていますが、色をつけることも可能。
そのため、洋風の家に塗装しても外壁だけ浮いてしまうことはありません。

2-2.珪藻土で外壁塗装をするデメリットとは?

珪藻土は、土です。ですから、それ自体だけでは外壁に塗りつけてもポロポロ落ちてしまいます。
ですから、必ず接着剤の役割を果たすものが必要です。
この接着剤が足りないと、乾燥するにつれて外壁がはがれてきやすいでしょう。
珪藻土の人気が高まるにつれて、珪藻土をあつかう工務店も増えてきました。
しかし、珪藻土の取り扱いには経験が必要。
そのため、とにかく珪藻土が入っていればよいとばかりに、珪藻土の含有量が数パーセントしかないという塗装も出てきてしまったのです。
これでは、珪藻土を使った外壁塗装とはいえません。
また、珪藻土の含有量が多い外壁塗装をする場合は通常の塗装ではなく、左官職人が塗装します。
そのため、費用が通常の外壁塗装よりも1.5倍~2倍程度かかることもあるでしょう。
また、珪藻土は衝撃に弱いので、たとえば激しい雨が当たったりするとひびが入って壊れてしまいます。
すると、また塗り直さなければなりません。
そのため、台風が多い地域の外壁には向かないのです。

3.珪藻土を使った外壁塗装が向いている家とは?

では、メリットとデメリットを踏まえて珪藻土を使った外壁塗装が向いている家をご紹介しましょう。
自分の家が当てはまるかどうか、確かめてみてください。

3-1.季節によって湿度の差が激しい場所

季節によって湿度の差が激しい場所に建っている家は、外壁塗装に珪藻土を使うと家の中が快適になります。
特に、押し入れなどのカビに悩まされていた家は珪藻土がお勧めです。
さらに、冬のひどい乾燥も緩和されるでしょう。

3-2.台風が直撃しない場所に建っている家

台風になるといろいろなものが飛んできます。また、激しい風によって雨粒も痛みを感じるほどになることが珍しくありません。
このような災害がひんぱんに起こると、衝撃に弱い珪藻土の外壁は、すぐに寿命がきてしまいます。
ですから、台風ができるだけ来ない地域か、きても直撃しない地域ならば珪藻土はお勧めです。

3-3.泥汚れなどがあまりつかない場所に建っている家

外壁は雨ざらしですから、どうしても汚れがつきます。
汚れの種類はさまざまですが、どうしても泥汚れがつくと、掃除に高圧洗浄機などが使われることがあるのです。
高圧洗浄機の水も衝撃ですから、どうしても寿命は短くなるでしょう。
ですから、泥汚れをはじめとする汚れがつきにくい場所に建っている家ならば珪藻土塗装はお勧めです。

4.珪藻土を外壁塗装に使いたい場合は?

珪藻土を外壁塗装に使いたい場合は、実績がある業者に依頼してください。
珪藻土は古くから外壁や内壁に使われてきた素材ですが、取りあつかうには経験が必要です。
ですから、今まで通常の塗料しか使ってこなかった業者が、すぐに使いこなせることはありません。
また、左官職人に頼めば仕上がりはすばらしいですが、やはり値段は高くなることを覚えておきましょう。
さらに、汚れがつきやすい場所は別の塗料を使うなどの工夫も必要です。
たとえば、泥汚れがつきにくい部分だけ珪藻土を使った外壁塗装にする家もあるでしょう。
これらの計画は、工務店と話し合って立てていきましょう。
また、安い値段で珪藻土塗装をするという業者もありますが、値段だけで決めないことが大切です。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は珪藻土を外壁塗装に使った場合のメリット・デメリットについてご紹介しました。
最近は天然素材の価値が見直されてきていますので、塗料よりも珪藻土やしっくいの方が何倍も優れている、という意見も聞きます。
しかし、塗料には塗料のよさがあり、天然素材には天然素材のよさがあるのです。
ですから、一概に天然素材にすればよいというわけではありません。
また、値段のこともよく考えましょう。
外壁塗装はどうしても定期的に塗り直しが必要です。
値段が高いから、ぎりぎりまで塗り直せないとなると、外壁自体がいたんでしまうでしょう。
また、珪藻土はモルタル以上に乾けば収縮します。
そのため、経験のない職人が塗ると乾いたとたんにひび割れが多数発生する、という事態もあるのです。
ですから、珪藻土で外壁塗装を行いたいという場合はまず工務店探しから始めましょう。

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