アクリル塗料とは?特徴・メリット・デメリットと外壁塗装での選び方
外壁塗装やリフォームの見積もりで「アクリル塗料」という言葉を見かけたことはありませんか? 名前は知っていても、シリコン塗料やフッ素塗料と何が違うのか、どのような建物に向いているのかまでは分かりにくいものです。
アクリル塗料は、比較的安価で扱いやすく、発色のよさが特徴の塗料です。一方で、外壁塗装に使う場合は耐久性や塗り替え周期に注意が必要です。初期費用だけで選ぶと、短い期間で再塗装が必要になり、結果的に費用がかさむこともあります。
この記事では、アクリル塗料の特徴、メリット・デメリット、ほかの塗料との違い、外壁塗装で使う際の注意点、ビル・マンションの外壁工事で塗料を選ぶポイントを解説します。
- アクリル塗料とは
- アクリル塗料の特徴
- アクリル塗料のメリット
- アクリル塗料のデメリット
- アクリル塗料が向いているケース・向かないケース
- 外壁塗装で塗料を選ぶときのポイント
- アクリル塗料に関するよくある質問
- まとめ
この記事は、次のような方におすすめです。
- アクリル塗料の特徴を知りたい方
- 外壁塗装の見積もりにアクリル塗料が入っていて迷っている方
- シリコン塗料やフッ素塗料との違いを知りたい方
- 外壁塗装の費用と耐久性のバランスを考えたい方
- ビル・マンションの外壁工事を検討しているオーナー・管理会社の方
1.アクリル塗料とは
アクリル塗料とは、アクリル樹脂を主成分とする塗料のことです。外壁塗装だけでなく、内装、木部、鉄部、DIY用塗料など、さまざまな用途で使われています。
かつては外壁塗装でも広く使われていましたが、現在は耐久性やコストパフォーマンスの面から、シリコン塗料、フッ素塗料、ラジカル制御型塗料などが選ばれる場面も増えています。
1-1.アクリル樹脂を使った塗料
アクリル塗料は、アクリル樹脂を塗膜の主成分として使う塗料です。
塗料は一般的に、樹脂、顔料、添加剤、溶剤または水などで構成されています。このうち、塗膜の性能に大きく関わるのが樹脂です。アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの名称は、主に使われている樹脂の種類によって分けられます。
アクリル樹脂は発色がよく、比較的安価で扱いやすい一方、外壁のように紫外線や雨風を受け続ける場所では、耐久性に注意が必要です。
1-2.現在の外壁塗装では主流ではない
アクリル塗料は、以前は外壁塗装でよく使われていた時期がありました。
しかし、現在の外壁塗装では、より耐久性の高いシリコン塗料やフッ素塗料、ラジカル制御型塗料などが選ばれることが多くなっています。
理由は、アクリル塗料が比較的劣化しやすく、塗り替え周期が短くなりやすいためです。初期費用は抑えやすいものの、長期的に見ると再塗装の回数が増える可能性があります。
1-3.アクリル塗料にも種類がある
一口にアクリル塗料といっても、製品によって性能は異なります。
水性タイプ、溶剤タイプ、弾性タイプ、内装向け、外装向けなどがあり、用途に合った製品を選ぶ必要があります。
また、近年はアクリル系の技術を含む高性能塗料もあります。ただし、名称に「アクリル」と入っているからといって、すべて同じ耐久性とは限りません。製品ごとの仕様書や期待耐用年数を確認することが大切です。
2.アクリル塗料の特徴
アクリル塗料には、発色のよさ、価格の安さ、扱いやすさといった特徴があります。一方で、外壁塗装に使う場合は耐久性や塗り替え周期を理解しておく必要があります。
2-1.発色がよく色を選びやすい
アクリル塗料は、発色がよく、色のバリエーションが豊富な点が特徴です。
鮮やかな色や細かな色味を表現しやすいため、外観の印象を変えたい場合や、デザイン性を重視する部分に使われることがあります。
ただし、外壁では紫外線や雨風によって色あせが起こるため、長期間美観を保ちたい場合は、耐候性の高い塗料も比較対象に入れましょう。
2-2.比較的安価に施工しやすい
アクリル塗料は、ほかの外壁塗料と比べて材料費を抑えやすい傾向があります。
そのため、短期間だけ外観を整えたい場合や、予算を抑えたい場合には候補になることがあります。
ただし、塗料代だけで外壁塗装の総額が決まるわけではありません。高圧洗浄、下地補修、養生、下塗り、作業費、足場費用なども含めて考える必要があります。
2-3.扱いやすい製品が多い
アクリル塗料には、1液型で扱いやすい製品も多くあります。
1液型は、主剤と硬化剤を混ぜる必要がないため、DIYや小面積の補修に使いやすい場合があります。
ただし、外壁全体の塗装では、下地の状態や塗装環境によって仕上がりと耐久性が大きく変わります。DIYでの外壁塗装は、仕上がり不良や早期劣化につながることもあるため、広範囲の施工は専門業者に相談したほうが安心です。
2-4.耐久性はほかの塗料より短め
一般的なアクリル塗料は、シリコン塗料やフッ素塗料と比べると耐久性が短めです。
外壁に使う場合の目安として、アクリル塗料は5〜8年程度と紹介されることがあります。ただし、実際の耐用年数は建物の立地、日当たり、雨風、下地、施工品質によって変わります。
日本ペイントも、塗料の期待耐用年数は地域・立地・部位・下地・施工条件などに左右されると説明しています。年数だけでなく、実際の建物条件に合わせて判断しましょう。
3.アクリル塗料のメリット
アクリル塗料には、初期費用を抑えやすい、色を選びやすい、短期利用に向いているなどのメリットがあります。
3-1.初期費用を抑えやすい
アクリル塗料の大きなメリットは、初期費用を抑えやすいことです。
外壁塗装では、塗料のグレードが高くなるほど材料費も高くなる傾向があります。アクリル塗料は比較的安価なため、限られた予算で塗装したい場合に検討されることがあります。
ただし、耐久性が短い場合は、次の塗り替え時期が早く来る可能性があります。初期費用だけでなく、10年・15年単位のメンテナンス費用も考えて判断しましょう。
3-2.色のバリエーションが豊富
アクリル塗料は発色がよく、色のバリエーションが豊富です。
外壁の一部、内装、看板、装飾部など、デザイン性を重視する場所では使いやすい場合があります。
色にこだわりたい場合は、塗料の種類だけでなく、日当たりによる色あせ、汚れの目立ちやすさ、周辺環境との調和も合わせて考えましょう。
3-3.短期的な美観回復に使いやすい
短期間だけ外観を整えたい場合、アクリル塗料は選択肢になることがあります。
たとえば、数年後に建て替えや大規模改修を予定している建物、売却前に外観を整えたい建物、一時的な補修が目的の場所などです。
長期間の耐久性を求める場合は、シリコン塗料やフッ素塗料なども比較しましょう。
3-4.小面積の補修やDIYに使いやすい
アクリル塗料は、DIY用や補修用として販売されている製品も多くあります。
小さな木部、鉄部、屋内の一部、装飾部分など、用途に合う製品を選べば扱いやすい塗料です。
ただし、外壁全体や高所作業を伴う塗装は危険があり、下地処理や養生も重要です。無理にDIYで行わず、専門業者に相談することをおすすめします。
4.アクリル塗料のデメリット
アクリル塗料はメリットがある一方で、外壁塗装では注意点も多い塗料です。特に、耐久性と塗り替え周期は必ず確認しましょう。
4-1.紫外線や雨風で劣化しやすい
アクリル塗料は、シリコン塗料やフッ素塗料と比べると、紫外線や雨風による劣化が早い傾向があります。
劣化が進むと、色あせ、ツヤ引け、チョーキング、ひび割れなどが起こりやすくなります。
日当たりの強い面、雨風を受けやすい面、沿岸部や湿気の多い地域では、劣化が早まる場合もあります。
4-2.塗り替え周期が短くなりやすい
アクリル塗料は耐久性が短めのため、ほかの塗料より塗り替え周期が短くなりやすい点がデメリットです。
外壁塗装では、塗料代だけでなく、足場費用や人件費も大きな割合を占めます。短い周期で塗り替えると、足場費用や施工費が何度もかかる可能性があります。
長く住み続ける建物や、ビル・マンションの大規模修繕では、初期費用だけでなく長期的な維持費も含めて検討しましょう。
4-3.ひび割れに注意が必要
一般的なアクリル塗料は、塗膜が硬めの製品もあり、下地の動きに追従しにくい場合があります。
モルタル外壁やひび割れが出やすい下地では、塗膜の割れやすさに注意が必要です。
ただし、弾性タイプのアクリル塗料など、ひび割れ追従性を考慮した製品もあります。下地の状態に合う塗料を選ぶことが重要です。
4-4.塗り替え時の相性に注意する
既存の塗膜に新しい塗料を重ねる場合、下地との相性が重要です。
既存塗膜が水性塗料か溶剤系塗料か、劣化の程度、付着力、下地材の種類によって、選ぶ下塗り材や上塗り材が変わります。
相性を確認せずに強い溶剤系塗料を重ねると、旧塗膜がふくれたり、縮れたり、はがれたりする可能性があります。塗り替え前には、必ず現地調査と下地確認を行いましょう。
4-5.外壁全体の長期保護には不向きな場合がある
アクリル塗料は、短期的な美観回復や小面積の補修には向いている場合があります。
一方で、ビル・マンションや長期的に維持したい建物の外壁全体に使う場合は、耐久性の面で慎重な判断が必要です。
塗装回数を減らしたい、長期的な修繕コストを抑えたい、メンテナンス周期を長くしたい場合は、シリコン塗料、フッ素塗料、無機塗料なども比較しましょう。
5.アクリル塗料が向いているケース・向かないケース
アクリル塗料は、すべての外壁に不向きというわけではありません。目的や建物の状況によっては、選択肢になる場合もあります。
5-1.アクリル塗料が向いているケース
アクリル塗料が向いているケースには、次のようなものがあります。
- 短期間だけ外観を整えたい
- 数年後に建て替えや大規模改修を予定している
- 予算を抑えて一時的に補修したい
- 小面積の補修や部分塗装をしたい
- 発色や色の自由度を重視したい
短期的な目的であれば、アクリル塗料の価格や扱いやすさがメリットになる場合があります。
5-2.アクリル塗料が向かないケース
一方で、次のようなケースではアクリル塗料以外も検討したほうがよいでしょう。
- 長期間メンテナンス回数を減らしたい
- ビル・マンションの外壁全体を塗装したい
- 足場費用が高く、頻繁な塗り替えを避けたい
- 日当たりや雨風の影響が強い建物
- 外壁のひび割れや劣化が進んでいる
特に、足場を組む必要がある建物では、塗料そのものの価格よりも、工事全体の費用と周期を考えることが大切です。
5-3.シリコン塗料との違い
シリコン塗料は、アクリル塗料より耐久性が高く、費用とのバランスが取りやすい塗料として多く使われています。
オフィスチャンプでも、水性シリコン塗料を「値段と耐久性のバランスが良い」と紹介しています。
外壁塗装で迷った場合は、アクリル塗料の安さだけでなく、シリコン塗料との総費用や塗り替え周期の違いを比較しましょう。
5-4.フッ素塗料・無機塗料との違い
フッ素塗料や無機塗料は、アクリル塗料やシリコン塗料より高耐久な製品が多く、長期的なメンテナンス回数を減らしたい建物で選ばれることがあります。
初期費用は高くなりやすいものの、塗り替え回数を減らせる場合は、長期的なコストを抑えられる可能性があります。
ビルやマンションのように足場費用や工期の影響が大きい建物では、長期的な修繕計画と合わせて検討することが大切です。
6.外壁塗装で塗料を選ぶときのポイント
外壁塗装の塗料選びでは、価格だけでなく、耐久性、建物の状態、施工方法、今後の修繕計画を総合的に見る必要があります。
6-1.初期費用だけで判断しない
アクリル塗料は初期費用を抑えやすい塗料です。
しかし、外壁塗装には足場費用、下地補修費、洗浄費、養生費、人件費などもかかります。
塗料代が安くても、短期間で再塗装が必要になれば、長期的な負担が増える可能性があります。見積もりを見るときは、1回の工事費だけでなく、次回の塗り替え時期も含めて考えましょう。
6-2.建物の用途と修繕計画に合わせる
戸建住宅、賃貸マンション、商業ビル、オフィスビルでは、塗料選びの考え方が異なります。
たとえば、賃貸マンションでは入居者への影響を抑える工期管理が重要です。商業ビルでは、営業への影響や外観イメージも考える必要があります。
数年後の大規模修繕、売却予定、長期保有の方針などによって、適した塗料は変わります。
6-3.下地の状態を確認する
塗料選びでは、下地の状態確認が欠かせません。
チョーキング、ひび割れ、浮き、はがれ、雨漏り、シーリング劣化などがある場合、塗料を選ぶ前に補修方法を検討する必要があります。
下地処理が不十分なまま高性能塗料を塗っても、本来の性能を発揮できないことがあります。
6-4.施工実績のある業者に相談する
塗料は製品選びだけでなく、施工品質によって仕上がりや耐久性が変わります。
見積もりを比較するときは、金額だけでなく、下地補修の内容、使用塗料、塗布量、工程、保証、施工実績を確認しましょう。
ビル・マンションの外壁工事では、高所作業や入居者対応、近隣対応も重要です。建物規模に合った施工経験がある業者を選ぶことが大切です。
6-5.無足場工法も選択肢に入れる
ビルやマンションの外壁工事では、足場費用が工事費の大きな割合を占めることがあります。
オフィスチャンプでは、足場を必要としない無足場工法による外壁工事を行っています。公式サイトでも、足場代をカットし、リフォーム費用を抑えられる方法として無足場工法が紹介されています。
ただし、無足場工法がすべての建物に適しているわけではありません。建物の高さ、形状、劣化状況、作業範囲、安全性によって判断が必要です。現地調査を受けたうえで、塗料選びと工法をセットで検討しましょう。
外壁塗装の塗料選びで迷っている方へ
アクリル塗料・シリコン塗料・フッ素塗料など、適した塗料は建物の状態や修繕計画によって変わります。
オフィスチャンプでは、ビル・マンションの外壁工事について現地調査からご相談いただけます。
7.アクリル塗料に関するよくある質問
Q.アクリル塗料は外壁塗装に使えますか?
A.使える製品もあります。ただし、外壁全体に使う場合は耐久性や塗り替え周期に注意が必要です。長期的に維持したい建物では、シリコン塗料やフッ素塗料なども比較しましょう。
Q.アクリル塗料の耐用年数はどのくらいですか?
A.一般的には5〜8年程度と紹介されることがあります。ただし、実際の耐用年数は、日当たり、雨風、地域、下地、施工品質によって変わります。製品ごとの仕様書や業者の説明を確認しましょう。
Q.アクリル塗料は安いからお得ですか?
A.初期費用を抑えやすい点はメリットです。ただし、塗り替え周期が短い場合は、足場費用や施工費が何度もかかる可能性があります。長期的な費用で比較することが大切です。
Q.アクリル塗料とシリコン塗料はどちらがよいですか?
A.短期的な補修や低予算重視ならアクリル塗料が候補になる場合があります。耐久性と費用のバランスを重視するなら、シリコン塗料が選ばれやすいです。建物の状態や修繕計画に合わせて選びましょう。
Q.アクリル塗料はDIYに向いていますか?
A.小面積の補修や屋内の一部塗装には使いやすい製品もあります。ただし、外壁全体や高所作業を伴う塗装は危険があり、下地処理も重要です。広範囲の外壁塗装は専門業者に相談してください。
Q.古いアクリル塗膜の上に別の塗料を塗れますか?
A.塗れる場合もありますが、既存塗膜の状態や下地との相性確認が必要です。劣化や付着不良がある場合は、下地処理や下塗り材の選定を誤ると、はがれやふくれの原因になります。
Q.ビル・マンションの外壁にはアクリル塗料で十分ですか?
A.短期的な目的であれば選択肢になる場合もありますが、長期的な修繕計画を考えるなら、耐久性の高い塗料も検討したほうがよいでしょう。ビル・マンションでは足場費用や入居者対応も関わるため、塗料と工法をまとめて考えることが大切です。
8.まとめ
アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とする塗料です。発色がよく、比較的安価で扱いやすい一方、外壁塗装では耐久性や塗り替え周期に注意が必要です。
短期間だけ外観を整えたい場合や、小面積の補修では選択肢になることがあります。しかし、長く住み続ける建物や、ビル・マンションの外壁全体を塗装する場合は、シリコン塗料、フッ素塗料、無機塗料なども比較したほうが安心です。
外壁塗装では、塗料代だけでなく、足場費用、下地補修、工期、今後のメンテナンス周期まで含めて考えることが大切です。初期費用だけで判断せず、建物の状態と修繕計画に合った塗料を選びましょう。
ビル・マンションの外壁工事では、塗料選びに加えて工法選びも重要です。足場を組みにくい建物や、工事費用・工期を見直したい場合は、無足場工法が選択肢になることもあります。
オフィスチャンプ|無足場工法による外壁工事のご案内
オフィスチャンプでは、ビル・マンションの外壁工事や大規模修繕工事において、無足場工法を活用した施工を行っています。
塗料選びで迷っている方、足場費用を抑えたい方、建物の状態に合った外壁工事を検討したい方は、まずは現地調査と見積もりをご相談ください。
出典
【注1】:「期待耐用年数|日本ペイント株式会社」
URL:https://www.nipponpaint.co.jp/nippelab/term/132/
【注2】:「ビル・マンションの外壁塗料の正しい選び方とは|オフィスチャンプ」
URL:https://officechamp-renewal.com/guide/toryo.html
【注3】:「ビル・マンションの大規模修繕工事ならオフィスチャンプ」
URL:https://officechamp-renewal.com/
【注4】:「ビル・マンションの外壁塗装工事のご案内|オフィスチャンプ」

