外壁塗装に使われる弾性塗料の特徴とは?どんな外壁材に向いている?

外壁塗料が劣化してくると、壁面にひびが入ってくることがあります。
ひび割れた壁は見た目が悪いだけではなく、放っておけば雨水が入りこんで外壁自体がいたむこともあるでしょう。
そこで、今回はこんな外壁のひび割れに効果的な弾性塗料についてご紹介します。
普通の塗料と弾性塗料は何が違うのでしょうか?
また、弾性塗料を使った外壁塗装が向いている壁の種類もご紹介します。
外壁の塗り直しを考えている方や外壁がひび割れてきたという方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

目次

  1. 外壁にひびが入る理由とは?
  2. 弾性塗料って何?
  3. 微弾性塗料の特徴や効果とは?
  4. 弾性塗料で外壁塗装をする際の注意点とは?
  5. 安すぎる業者は要注意?
  6. おわりに

1.外壁にひびが入る理由とは?

弾性塗料についてご紹介する前に、まずは外壁にひびが入る理由をご説明します。
外壁によってひび割れしやすいもの、しにくいものがあるのです。

1-1.モルタルの外壁

1980年代まで一般住宅の壁といえば、セメントに砂を混ぜて練り上げた「モルタル」が主流でした。
今でも、古い住宅の外壁はモルタル製のものが多いです。
モルタルは外壁材として加工しやすいというメリットがある一方で乾燥すると収縮するというデメリットがあります。
そして、古いモルタルの外壁塗装は柔軟性がなくなるため、ひび割れてくるのです。
塗り直しても、5年前後で再びひび割れてくる壁も少なくありません。

1-2.サイディングの外壁

サイディングとは、プレート状の外壁材を接着剤で張りつけていく工法で作られた外壁です。
乾燥による収縮もなく左官の技術もいらないので、新築の家屋のほとんどがサイディングの外壁になっています。
サイディングの素材もいろいろありますが、ひび割れてくるのは「シーリング」と呼ばれる接着剤の部分です。
シーリングも弾力がある素材ですが、経年によって弾力性が失われてくると、ひび割れてくるでしょう。

2.弾性塗料って何?

弾性塗料とは、文字どおり弾力性のある塗料のことです。
通常の塗料よりも塗膜の厚さが10倍もあるため、ゴムのように伸びます。
これに対し、通常の塗料を「硬性塗料」と呼ぶこともあるのです。
弾性塗料は、通常の塗料に弾力性を持たせる「硬化剤」を加えることで作ります。
最初から「弾性塗料」として販売される塗料もありますが、ごく少数です。
ちなみに弾性塗料は、外気温20度のときに伸び率が120%以上のもの、という規格があります。
ですから、かなり粘性の高い塗料になるのです。
また、弾性塗料ほどの弾力性はないものの、通常の塗料よりも弾力性がある塗料を「微弾性塗料」といいます。
こちらは同じ条件で伸び率が50%~99%のものが多いですが、規格がないため伸び率がほんのわずかでも「微弾性塗料」という業者もあるのです。

3.微弾性塗料の特徴や効果とは?

微弾性塗料は、前述したように非常に弾力があります。
ですから、モルタルの外壁がひび割れようとしたときに、それを抑えてくれる働きがあるのです。
また、少々のひびくらいならば弾力性のある塗料がすきまを埋めてくれるでしょう。
ですから、ひび割れが目立ちにくく、塗装が長持ちするのです。

4.弾性塗料で外壁塗装をする際の注意点とは?

では、弾性塗料を使って外壁塗装を行いたいという場合は、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
この項では、弾性塗料による外壁塗装が向いている壁や工賃についてご紹介します。

4-1.弾性塗料が向いている外壁とは?

弾性塗料は、もともとモルタルの外壁にできやすいひびを目立ちにくくする塗料として開発されました。
ですから、一度ひび割れが発生したモルタルの外壁には、弾性塗料で外壁塗装をするとひびが目立ちにくくなるでしょう。
一方、サイディングの外壁は一般的に弾性塗料を使いません。サイディングの外壁は断熱性が高いので、夏場などは表面温度が80度近くになるのです。
ですから、粘度の高い弾性塗料を使うと塗料が泡だってしまいます。
見た目も悪くなりますし、シーリングのひび割れは弾性塗料では補えません。
サイディングの住宅は別の塗料で塗り直しを行いましょう。

4-2.弾性塗料を使った外壁塗装の工賃はどのくらい?

弾性塗料は、通常の塗料を使った外壁塗装よりも工賃が高くなります。
粘度の高い塗料を、均等に美しく塗るためにはコツがいるのです。
また、通常の塗料よりも使用量が多くなるのでしょう。
さらに、弾性塗料を作るための硬化剤を混ぜたら、6時間~8時間以内に塗料を使いきらなくてはなりません。
通常の塗料ならば、余った場合は翌日に使いまわしができます。
しかし、弾性塗料が余った場合はすべて廃棄になるのです。
ですから、塗料の使用量が多くなり、工賃も高くなります。

4-3.弾性塗料の塗装方法とは?

弾性塗料の塗装方法は、複層と単層があります。
複層は下地を塗り、その後で中塗りを2回くりかえし、さらに上塗りも2回行うのです。
つまり、計5回塗ります。
この方法で行うと、10年間は再塗装しなくても持つでしょう。
しかし、5回も塗り重ねるのですから、費用も期間もかかります。
単層は、中塗りと行わない方法です。
また、微弾性塗料もこの方法で塗ります。
一般住宅で弾性塗料を使った外壁塗装をする場合は、この単層方法を行うことが多いでしょう。
ただし、耐久年数は通常の弾性塗装の方が長いです。
ですから、「何年ひびを目立ちにくくしたいのか」を考えて、塗料を選びましょう。

5.安すぎる業者は要注意?

弾性塗料は塗料の中でも新しい部類です。
また、きれいに塗るにはコツがいるため、腕のよい職人がいる工務店に依頼するとよいでしょう。
さらに、安さを売りにした工務店が、「弾性塗料がこの値段」などという宣伝文句で広告を出す場合もあります。
企業努力で費用を抑えるのは、すばらしいことです。
しかし、中には手っ取り早い方法で工賃を抑える業者もあります。
塗装で費用を抑える一番簡単な方法は、塗料の量を減らすことです。
特殊効果のある塗料は、重ね塗りをしたりある程度の厚みを持たせて塗ったりしないと効果が発揮できません。
しかし、弾性塗料を水で薄めて塗ったり3層に塗るといいながら2層にしか塗ったりしなければ、弾性塗料の効果はないのです。
ですから、あまりに安すぎる業者は、使う塗料の量を聞いてください。
その後、別の業者の見積もりと比べてみて塗料の量が極端に少ない場合は依頼しない方がよいでしょう。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回は弾性塗料についていろいろとご説明しました。
まとめると

  • 弾性塗料は、モルタルのひびを長期間にわたって目立たなくしてくれる。
  • サイディングの壁には適さないので使用しない。
  • 微弾性塗料というものもあるが性能は劣る。
  • 弾性塗料を使用した外壁塗装をする場合は、腕のよい職人がいる工務店に依頼しよう。

ということです。
今は、ホームページを開設している業者も増えています。
弾性塗料を使って外壁塗装をしている業者の中には、施工例をアップしているところもあるでしょう。
そのような施工例がたくさんある業者は、信用できる可能性が高いです。
また、微弾性塗料の中にはあまり一般的な塗料と変わらないものもあります。
基準がないので業者が「微弾性塗料です」といえば、信じるしかありません。
ですから、より確実にひびを隠す塗装を行いたければ、弾性塗料を使って複層塗りを行いましょう。
値段は高いですが、満足できる仕上がりになると思います。

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