
大規模修繕工事の内容は? 工事の重要性や時期なども徹底解説!
マンションやビル・商業施設などの大規模修繕工事は、膨大な費用がかかります。そのため、劣化症状が見られても工事をしなかったり、先延ばしにしたりすることもあるでしょう。
しかし、建物の劣化症状を放置していると、どんどん状態が悪化し、大事故に発展する恐れがあるので注意しなければなりません。
では、大規模修繕工事はどのように進めればいいのでしょうか。
本記事では、大規模修繕工事を行う時期や工事内容などについて詳しく説明します。
この記事を読むことで、大規模修繕工事の大まかな流れや注意点なども分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。
1.大規模修繕工事の必要性は?
まずは、大規模修繕工事の必要性をチェックしておきましょう。
1-1.経年劣化による影響を抑えるため
大規模修繕工事が必要な理由は、経年劣化による悪影響を最小限に抑えることができるからです。マンションやビルなどの建物は頑丈な造りになっていますが、雨風や紫外線の影響を避けることはできません。年月とともに経年劣化が進み、さまざまな劣化症状が起こりやすくなります。劣化箇所をきちんと修繕することで、経年劣化による影響を抑えることができ、建物の寿命も延びるでしょう。
1-2.安全性を維持するため
大規模修繕工事は、安全性を維持するためにも必要な工事です。ほとんどのマンションやビルは鉄筋コンクリートで造られているため、昔よりも耐久性に優れています。ですが、経年劣化や地震などの自然災害による損傷を避けることはできません。
損傷している状態を放置するほど、外壁が剝がれ落ちてしまい、住民や周辺地域へ危害をもたらす恐れがあります。安全性を維持するためにも、損傷箇所をしっかりと修繕しなければなりません。
1-3.資産価値の低下を防ぐため
マンションやビルなどの資産価値を守るためにも、大規模修繕工事は必要不可欠です。もともと、大規模修繕工事は新築時点の機能回復を目的としています。
つまり、劣化箇所の修繕によって、建物の資産価値向上につながるというわけです。大規模修繕工事をしていない建物は、年数が経過するにつれて快適性や安全性が低下し、資産価値がどんどん下がってしまいます。
2.大規模修繕工事をすべき時期は?
ここでは、大規模修繕工事をすべき時期について詳しく説明します。
2-1.10~12年周期が一般的
大規模修繕の時期は、10~12年周期で行うのが一般的です。国土交通省のガイドラインによると、マンションにおける最初の大規模修繕は築12年が目安だと記載されています。
前述したように、大規模修繕工事は新築時点の機能回復を目的としており、劣化症状が発生しやすくなるのはだいたい10~12年前後です。たとえ、築12年が経過していない状態だとしても、劣化症状が見られた際は早めに対処する必要があります。
2-2.気をつけておきたい劣化症状
では、どのような劣化症状がマンションやビルといった建物に見られるのでしょうか。できるだけ、早めに大規模修繕工事をしたほうがいい劣化症状をいくつかピックアップしてみました。
- コンクリートのひび割れ
- 鉄筋爆裂
- モルタル浮き
- 塩ビシートの浮き・剝がれ
- 塗膜剝がれ
- 外壁コーキングの劣化
- ルーフィングの膨れ・剝がれ
- タイルの浮き・剥離・欠損
- 塗膜面の白亜化
- 金属部分のサビ
上記の中でも、特に気をつけておきたいのは、ひび割れと鉄筋爆裂です。ひび割れからコンクリート内に雨水が浸入し、内部鉄筋が腐ってしまいます。そのまま放置すると、コンクリートの爆裂が起き、タイルやコンクリートの一部が落下するリスクが高まるので早めの修繕が必要です。
3.大規模修繕工事の内容
ここでは、大規模修繕工事の内容を解説します。
3-1.下地・タイル補修
大規模修繕工事として、下地・タイル補修があります。コンクリートの躯体部分に発生したひび割れを修繕するのが下地補修、欠損しているタイルなどを補修するのがタイル補修です。代表的な補修方法としては、エポキシ樹脂やポリマーセメントペーストをひび割れ箇所に充填する方法と、ひび割れに沿って溝を作り、そこにシーリング材を充填する方法があります。
特に、下地補修は建物の寿命にも影響する大事な部分ですので、適切な工法で補修をしなければなりません。
3-2.シーリング工事
シーリング材を新しく打ち替える工事を、シーリング工事といいます。シーリング工事は、主にタイルの目地・サッシまわり・外壁などに使用されているシーリングを補修する内容です。シーリング材が劣化していると、外壁のひび割れを誘発したり雨漏りが起きたりする恐れがあるため、早めに新しいシーリングへ打ち替える必要があります。
なお、シーリング工事で使うシーリング材は、接合部分に最適な種類を選ぶことが大切なポイントです。
3-3.外壁と鉄部の塗装工事
塗装工事は外観の美しさを保つためだけと思われがちですが、建物の耐久性を維持するためにも必要な工事です。外壁は雨風や紫外線によって劣化しやすい箇所ですので、定期的にメンテナンスをする必要があります。
塗装工事では傷んだ外壁を補修したり、汚れやサビを除去してから新しく塗装したりするなどさまざまです。塗装材には、主にフッ素塗料やシリコン塗料を使います。
3-4.防水工事
大規模修繕工事では、防水工事も必要不可欠です。雨水などの水分がコンクリート内部へ浸入することによって建物は劣化します。つまり、防水工事をしっかりとしておかなければ、建物の劣化スピードがより速まってしまうというわけです。
逆に、防水工事をしっかりとしておけば、建物の劣化を抑えることができます。特に、屋上・外階段・バルコニーなど雨風にさらされやすい場所は防水工事が重要です。なお、防水工事は主に、塩化ビニル樹脂シートやウレタン・アスファルトなどの防水素材を使います。
4.大規模修繕工事の流れ
ここでは、大規模修繕工事の大まかな流れを解説します。
4-1.まずは仮設工事
大規模修繕工事は、仮設工事から始まります。仮設工事とは、足場を設置したり、養生をしたりするなどの大事な作業です。ビルやマンションといった大きな建物の補修を行うためには、足場を設置しなければなりません。高層ビルの場合は、ブランコを吊り下げての作業になることもあるので安全確認を行う必要があります。足場が不安定になっていると、修繕工事の質が落ちるだけでなく、事故につながる恐れもあるので注意が必要です。また、養生の際には、塗料の飛散や落下物を防ぐためのメッシュシートなどを使います。
4-2.耐久性に関わる下地補修
仮設工事の後は、下地・タイル補修を行います。前述したように、下地・タイル補修は建物の耐久性に関わる重要な工程です。築年数が経過するほどにひび割れなど、コンクリート躯体部分に劣化が生じやすくなります。下地部分が劣化したまま塗装をしてしまうと、塗装がすぐに剝がれたり、雨漏りが発生したりするなど劣化症状がさらに悪化してしまうので要注意です。また、外壁の状態をしっかりと確認した上で、必要な箇所の修繕を最適な方法で行うことも大切なポイントとなります。
4-3.シーリング・塗装工事
下地補修の次は、シーリングと塗装工事です。シーリング材が劣化している箇所を新しいシーリング材に打ち替え、下地とシーリング部分をしっかりと整えます。そして、新しい塗料を使って外壁塗装を行うという流れです。大規模修繕工事では、下地と塗料との付着力が重要になるため、しっかりと下地補修とシーリング工事をすることが大切になります。付着力が弱い場合は、現状の塗料を除去する必要もあるでしょう。塗装を重ねることで、しっかりと建物を保護します。
4-4.防水工事と付随工事
建物の防水性が低下している場合は、防水工事が必要になります。シート防水や塗膜防水などさまざまな広報を用いて防水性を高めることになるでしょう。そのほか、補修が必要な箇所があれば、ここで付随工事も済ませます。大規模修繕工事でよくある付随工事としては、更生工事・給排水管の更新・エントランスの改修工事・玄関扉・サッシの交換工事などです。大規模修繕工事は劣化箇所の修繕だけでなく、時代に合わせた設備を導入したり、機能を改善するための工事をしたりすることも大切なポイントとなります。
5.大規模修繕工事をする際の注意点
ここでは、大規模修繕工事をする際の注意点をいくつか紹介します。
5-1.悪質な業者に要注意!
大規模修繕工事をする際は専門業者へ依頼することになりますが、悪質な業者に注意しなければなりません。近年、「工事後に高額な追加費用を請求された」「修繕工事をしてもらったのに、すぐに雨漏りが起きた」などのトラブルが起きています。悪質な業者とトラブルになってしまうと、修繕費用がさらにかかってしまうので業者選びは慎重に行わなければなりません。
5-2.業者選びのポイントをチェック!
どのような業者に大規模修繕工事を依頼すればいいのか分からない方は、下記のポイントに注目してみてください。
- マンションやビルなど大規模修繕工事の実績があるか
- 施工事例がホームページ等に掲載されているか
- スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
- 無料見積もりや無料相談を受け付けているか
- 見積書の内容が具体的に記載されているか
- 口コミや評判がいいか
上記の内容を踏まえた上で、複数の業者を比較して見てください。比較することで、悪徳業者が見極めやすくなります。なお、東京・大阪を中心に外壁工事をしているオフィスチャンプでは、無料相談を受け付けているので、大規模修繕工事でお悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。
6.大規模修繕工事に関してよくある質問
大規模修繕工事に関する質問を5つピックアップしてみました。
Q.マンションにおける大規模修繕工事のポイントは?
A.大規模修繕と併せて、機能改良も行うことが大切なポイントです。たとえば、高齢者が多く暮らしているマンションなら、バリアフリー化をするなど機能改良のための工事はたくさんあります。最近では、宅配ボックスを設置したり、防犯対策を強化したりする機能改良が注目されているので、大規模修繕工事と併せて検討してみてはいかがでしょうか。
Q.大規模修繕工事をしないことで起こり得るトラブルとは?
A.よくあるのは、外壁の崩壊です。実際に起きた事故としては、高層マンションの最上階からタイルが落下して通行人が死亡した・ビルの外壁が崩壊して歩行者が重傷を負ったなどがあります。そのほか、雨漏りや浸水もよくあるトラブルです。雨漏りや浸水によって構造材が腐ってしまうと、建物崩壊の恐れがあります。こういったリスクを避けるためにも、大規模修繕工事は必要です。
Q.大規模修繕工事の期間はどのくらいか?
A.一般的に、着工まで約1~2年、工事が始まってから完了するまでには3~4か月かかります。50戸以上の大規模マンションは4か月かかるでしょう。大規模修繕工事は大がかりな工事ですので、計画を立てる準備期間も必要不可欠です。きちんと工事計画を作成してからスケジュールを立てる必要があります。
Q.大規模修繕工事にかかる費用はいくらぐらいか?
A.建物の規模によって異なりますが、1,000万~3,000万円が目安でしょう。住宅戸数やビルの階数によっては、3,000万以上になるケースもあります。また、建物の劣化状態によっても費用は大きく変わるでしょう。大規模修繕工事を怠っていた場合、劣化状態がひどくなっている恐れがあるので目安よりも高額な修繕がかかります。
Q.大規模修繕工事の費用を抑えるコツは?
A.定期的に外壁メンテナンスを行うのはもちろんのこと、足場を設置しない無足場工法を用いる方法もあります。無足場工法では命綱をつけた職人がロープに吊(つる)される形で作業をしたり、ブランコを使って外壁工事をしたりするなど方法はさまざまです。足場を設置しないことで、足場代が節約できます。
まとめ
大規模修繕工事は主に、下地・タイル補修工事・塗装工事・防水工事などがあります。10〜12年周期を目安に大規模修繕工事をすることで、頑丈かつ安全性の高い建物が維持できるでしょう。逆に、大規模修繕工事を怠ると、建物の耐久性が低下してしまい、もろい状態になります。また、しっかりと劣化箇所を修繕することで、修繕費用の節約にもつながるでしょう。なお、大規模修繕工事をする際は、できるだけ実績のある業者に依頼することも大切なポイントです。東京・大阪を中心に外壁工事をしているオフィスチャンプでは、無料相談を受け付けています。大規模修繕でお悩みの方はぜひご相談ください。