自然塗料の特徴とは?地球環境保護とシックハウス症候群対策に効果的

環境に配慮したエコロジー住宅が注目を浴びる中、塗料にも自然由来のものを希望する方が増えています。塗料は外観を美しくするだけではなく、住宅に使われている木材を保護する目的を持っているもの。腐食・劣化・変質を予防する働きを持っています。
古くから日本では、漆や柿渋などが使用されてきたものです。しかし、耐久性・施工費用などの面から石油化学系塗料が主流になっていました。近年、石油化学系塗料より自然塗料に流れが移ってきている理由には、石油化学塗料に含まれている成分によるシックハウス症候群や化学過敏症などを心配する声が出ているからです。
住宅は、建物を維持していくために定期的な塗り替えを行うことが必要。塗り替えのタイミングで自然塗料を取り入れようか悩んでいる方は、自然塗料の良さや得られるメリットなどを知る材料にしてください。

  1. 自然塗料の特徴
  2. 自然塗料の種類
  3. 自然塗料と石油化学系塗料の比較
  4. まとめ

1.自然塗料の特徴

日本では、まだ自然塗料が普及し始めたばかりです。環境に配慮した住宅設計・住宅設備などを意識する方が増え、日本でも急速にニーズが高まっています。

1-1.ドイツからの輸入品がほとんど

現在販売されている自然塗料は、ドイツから輸入されているものがほとんど。ドイツの自然塗料に対する考え方は、揮発性有機物質と塗料の水溶化だけではありません。原料調達から使用・廃棄に至る過程までを自然に配慮しており、ライフサイクルアセスメントと呼ばれる環境負荷を総合的に判断評価する手法を取り入れています。
日本の生活も欧米化し、フローリングを使う住宅が増えた影響もあり、自然塗料への意識が高まっているのです。ドイツでは、30社ものメーカーから自然塗料が販売されています。

1-2.主な成分は? 

自然原料は、主成分となる樹脂がひまわり油・大豆油など植物性のものを使っています。食品と同じレベルの安全性が確認されたもので構成されているのが特徴です。
健康に害を与える成分を含まず、より安全により快適な住宅を求めるニーズに対応しています。従来は石油化学系塗料が主流で、木材の防汚・耐久性を維持してきていました。しかし、石油化学系塗料では、塗膜が木材の質感を失うと危惧されてきたのです。

1-3.分類

自然塗料は、大きく3つに分類されています。木材に浸透するオイル系・樹木や昆虫などを主成分とした調湿作用を持つワニス系・蜜蝋(みつろう)などを主成分としたワックス系です。
ワックス系は主成分が蜜蝋(みつろう)という食品としての安全性も高いものですが、単独で使う場合はこまめなメンテナンスを必要とします。オイル系・ワニス系の補助膜として使うことも多いタイプです。

2.自然塗料の種類

ドイツからの輸入品がほとんどを占める自然塗料ですが、現在販売されている自然塗料の特徴を知り、塗料を選ぶ際のポイントにしてみてください。

2-1.オスモ(OSMO)

日本で最も普及しているドイツメーカーの自然塗料です。木材の性質を理解して作られた塗料であり、ひまわり油を主成分としています。塗装後に木材に浸透していくオイル系塗料の1つです。室内用・床用・外壁用と用途に応じた選択ができます。

2-2.リボス(LIVOS)

ルドルフ・シュタイナーが1972年に説いた哲学を元に、女性博士が開発した塗料です。主成分は亜麻仁油で、オイル系塗料の1つ。ラベンダー・ローズマリーなどの芳香剤を使用したアロマテラピーの要素も併せ持っています。ワックス系に属しているものです。

2-3.アウロ(AURO)

リボス(LIVOS)から独立した社員が企業した会社で作られ、主成分や製品体系などは非常に似ています。100%天然原料を使っているのが特徴で、成分内容などについてはすべて公開されているので、ホームページなどを参考にしてみてください。

2-4.クライデツァット(KREIDEZIT)

日本では、比較的最近輸入されるようになった塗料です。アグライアと同じく、高い評価を得ている自然塗料とされています。
天然00%自然由来の成分で構成され、油脂と微粒子が細かいため、木材への浸透がしやすくて耐久性もあるのです。mおともとカラーバリエーションの少なかったクライデツァットに、日本の輸入代理店がドイツとの共同開発を行い、プラネットカラーとして登場しました。ほかの自然塗料よりも油分と顔料濃度が高いため、1度塗りでも美しい仕上がりになるとされています。

2-5.アグライア(AGLAIA)

 長い歴史の中で育まれてきた塗料で、その起源は1894年に創業されたベーク社が1969年に製造したものです。現在販売されている自然塗料の中で、ただ1つの造膜系塗料とされています。
塗装しても耐水性を備え、仕上がり時に艶感が出る塗料です。塗装は必ず、施工経験の多い業者に依頼すること。仕上がりがまったく変わってきます。

3.自然塗料と石油化学系塗料の比較

3-1.自然塗料のメリット

自然塗料は、アレルギー体質の方にも優しい塗料です。化学由来物質が吐き気や頭痛などのシックハウス症候群をもたらしていましたが、自然塗料にすることで気にならなくなるメリットがあります。
小さなお子さんがいる家庭では、アレルギーを気にされることが多いはずです。一般的に使用されてきた石油化学系塗料よりも、アレルギー反応が出にくいとされています。
ニーズが高まってきている今、日本でも自然塗料開発を独自に取り組んでいくことが、地球環境保護への課題となるでしょう。

3-2.自然塗料のデメリット

石油化学系塗料は、自然塗料よりも乾燥時間が早く、工事期間が短くて済むメリットがあります。また、耐候性にも優れているので、メンテナンスの手間が少なくて済むのです。
自然塗料にも防カビ成分は含まれていますが、石油化学系塗料より劣るとされています。同じ機能性を求める場合、作業効率の良い石油化学系塗料の方が施工費用も安くなるでしょう。

4.まとめ

自然塗料についてご紹介しました。

  • 自然塗料の特徴
  • 自然塗料の種類
  • 自然塗料と石油化学系塗料の比較

石油化学物質によるシックハウス症候群などアレルギーを引き起こしにくいとされ、注目されている自然塗料。現在販売されている自然塗料のほとんどは、ドイツから輸入されているものです。地球環境保護のため、日本でも研究開発を進めることが課題でしょう。
自然塗料は石油化学塗料に比べ、耐候性が劣ります。こまめなメンテナンスが必要です。 メリットとデメリットを比較し、塗料を選ぶポイントにしてください。

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