外壁通気工法のメリットとデメリットは? ズバリ紹介します!

最近の住宅は、高気密高断熱がより進んでいます。冷暖房が効きやすくなったのはよいことですが、新しい問題も発生しているのです。そのひとつが内部結露。それを防止するために考え出されたのが外壁通気工法です。

そこで、今回は外壁通気工法の仕組みやメリット・デメリットをご紹介しましょう。外壁通気工法は1980年代の北海道で発案され、全国に広まった工法です。この工法のメリットを説明するサイトは多いですが、実はデメリットもしっかりあります。これから家を建てるという方は、ぜひこの記事を読んで外壁通気工法の知識を深めてくださいね。

  1. 高気密高断熱住宅の問題点は?
  2. 外壁通気工法って何?
  3. 外壁通気工法のメリットとデメリットは?

1.高気密高断熱住宅の問題点は?

高気密高断熱住宅は冬の寒さが厳しいヨーロッパで発案され、北海道を中心に広まりました。元々は暖房の熱を逃がさないようにするためのものでしたが、冷房も効きやすくなるということで本州にも普及したのです。日本の伝統的な建築物は、蒸し暑い夏を過ごしやすいように造られています。ですから、間口が広くて壁が少なく風が通りやすくなっているのです。その分、冬は寒気もダイレクトに入ってきますが、湿気が溜(た)まりにくいというメリットもありました。

現在の住宅は、冷房や暖房で適温になった空気も逃げにくいのですが、同時に湿気も溜(た)まりやすいのです。特に、木造住宅の場合は室内で発生した湿気が壁紙を通過して内部にまで入りこみ、そこで結露になってしまいます。これが、一時期問題になった内部結露です。

結露というと窓ガラスにつくものというイメージがありますが、内部結露は壁の裏側や壁内の断熱材の上に発生します。拭き取ることもできず、カビがびっしりと生えてからようやく気付いたというケースも多いのです。壁の中の断熱材にカビが生えてしまうと、それをリフォームするのにお金と期間がかかるでしょう。

高気密断熱住宅は、カビが発生しやすいんですね。
はい。特に日本は高温多湿なので、換気をしっかりできる造りにしておく必要があります。

2.外壁通気工法って何?

外壁通気工法とは、外壁材を設置するときの工法です。このほかには、直貼工法(じかばりこうほう)というものがあります。直貼工法は日本で長年用いられてきた工法であり、柱の外側に防水紙を張って、そこに外壁材を直接張り付ける工法です。

この場合は、外壁はぴったり柱にくっついていて壁内に隙間はありません。外壁通気工法とは、柱と外壁材の間に一定の隙間を作る工法です。

また、室内から発生する湿気は断熱材の外部に張られた防湿気密シートで防ぎます。こうすることで、壁内に生まれた水蒸気を外に逃がしやすくなるのです。

この工法は防水面でも有効。外壁から水が入ってきた場合、直貼工法ですとそのまま内壁まで水がしみとおってしまいます。しかし、外壁通気工法の場合は通気口を伝って水が外に出るので、内部にまでしみこみません。

1980年代に北海道で開発されたこの工法は2000年代に急速に拡大し、現在はサイディング外壁の家はほぼ通気工法で作られています。

外壁通気工法とは、柱と外壁材の間に一定の隙間を作る工法なんですね。
はい。それにより、湿気が壁の内側にたまりません。

3.外壁通気工法のメリットとデメリットは?

では、外壁通気工法のメリットとデメリットはどのようなものでしょうか? この項ではその一例をご紹介します。

3-1.メリット

外壁通気工法のメリットは、前述したように防湿効果と防水効果が高いことです。壁内に結露が発生した場合、拭き取ることはできません。自然に乾燥するのを待つしかないのです。しかし、壁の内部は湿気の逃げ場がありませんからカビも発生しやすいでしょう。カビの胞子はごく小さいですから、水蒸気のように壁紙をすり抜けて室内に蔓延(まんえん)し、アレルギーの原因になるのです。

外壁通気工法ならば、湿気は通気口から逃げていきます。ですから、カビが発生する可能性も低くなるでしょう。また、台風など強い雨が直撃しても雨もりがぐっと起こりにくくなります。

雨もりというと屋根から起こるイメージがありますが、外壁からも起こるのです。しかも、外壁から起こる雨もりはじわじわと水が内部にしみこんでいくため、気がつきにくいでしょう。外壁の修理はお金も時間もかかります。

また、結露が起こらないとしても湿気は家の大敵です。通気口の効果で壁内部の湿気が減れば、建築資材そのものが長持ちするでしょう。つまり、家の寿命が延びやすくなるのです。

3-2.デメリット

外壁通気工法のデメリットは、インターネットを検索してもあまり出てきません。ですから「デメリットなしの素晴らしい工法なのだろうか?」と思う方もいるでしょう。しかし、残念ながら外壁通気工法にもデメリットはあります。

そのひとつが外壁の強度。外壁と柱の間に隙間があるということは、それだけ留め金の負担が大きくなります。釘(くぎ)で板と板を打ち合わせる際、板同士がぴったりくっついていると釘(くぎ)は外れにくいです。

しかし、板同士の間に隙間があると釘(くぎ)はちょっとした衝撃で抜けてしまいます。外壁にも同じことがいえるのです。外壁は、留め金で柱に固定されていますが、直貼り工法よりもどうしても強度が下がります。実際、新潟県で起きた中越沖地震では、外壁通気工法を行った家の外壁が落下した例が多かったのです。

また、隙間を作った分だけ外壁の厚みが大きくなります。ですから、建ぺい率の関係で希望道理の広さの家が建てられない場合もあるのです。

隣家との兼ね合いにも影響があるでしょう。さらに、防火上の問題もあります。外壁の内部に通気口を作ると、開口部も必要になるのです。火災が発生した際に、その開口部から炎が入りこむと、通気口が煙突の役割をはたして断熱材が直接燃え上がるかもしれません。現在は、IHクッキングヒーターなどの普及でより火災のリスクは減っています。

しかし、完全に火災の可能性がゼロではありません。特に、石油を燃料とした暖房が登記に大活躍する北国では、火災の危険度もアップするでしょう。ですから、資金に余裕がある場合は通気口の中に防火工事をしておくとよいですね。

3-3.信頼できる業者に施工を依頼しよう

外壁通気工法は、2000年代に普及したまだ新しい工事方法です。ですから、工務店によってはまだまだ技術が未熟なところもあるでしょう。工事を頼む際は、施工例が多い技術の高い工務店に依頼すれば、より満足のいく仕上がりになります。そのためには値段だけでなく、実際に工事をした家などを見て施工業者を決めましょう。

デメリットを把握しておけば、選択の参考になりますね。
はい。メリットとデメリットを把握しておき、その上で家を建てる場合はどちらが優勢なのか判断することが重要です。

おわりに

今回は、外壁通気工法のメリットとデメリットをご紹介しました。
まとめると

  • 外壁通気工法とは、外壁と柱の間に隙間を作る工法である。
  • 通気口があることにより、湿気の逃げ場ができて内部結露を防げる。
  • 湿気を逃がすことにより建築資材が長持ちする。
  • 外壁材が落下しやすいなどのデメリットもある。

ということです。

現在、サイディングで外壁を作る場合は、外壁通気工法を行うところがほとんどでしょう。しかし、建築メーカーによっては独自の工法を行い、外壁通気工法を行わないところもあります。外壁通気工法はメリットもたくさんありますが、デメリットがゼロではありません。

また、外壁の強度を保つために、よりしっかりとした工事が必要です。ですから、値段だけでなく職人の腕前で判断して、工務店を選びましょう。工事の説明を受ける際は、わからないことは何でも質問してください。優良な工務店ならばきちんと答えてくれるでしょう。

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