マンション外壁の検査方法を知りたい!〜知っておきたい方法と特徴〜

マンションマンションは消耗品なので、時間の経過とともに劣化が進みます。特に傷みが目立つと美観を損ねるだけではなく、危険なのが「外壁」でしょう。マンションオーナーにとって、外壁のメンテナンスは必要です!外壁の検査方法をご紹介しましょう。

目次

  1. マンションの外壁検査の必要性とは
  2. 外壁検査方法にはどんな種類があるのか
  3. 全面打診調査法の特徴
  4. 赤外線調査法の特徴
  5. まとめ

1.マンションの外壁検査の必要性とは

マンションは、基本的に鉄筋コンクリートなので丈夫そうに見えます。

しかしながら、年月とともに劣化が進むのです。

そして、マンションは建っている立地によって劣化のスピードも異なります。

劣化の原因としては、以下のようなことが挙げられるでしょう。

  • 地震や台風
  • 季節による外気の温度差
  • マンション外壁素材の耐性劣化
  • 紫外線や雨
  • 排気ガス

外壁の劣化は、ひとつだけではなく上記のようなさまざまな原因が重なって起ることもあります。

外壁に使用している塗料や素材によって劣化の度合いも異なるため、外壁修理前に劣化の状態を調べる必要があるのです。

マンションの外壁を修理しようかな…と考えているオーナーさんは、最初に外壁検査を業者に依頼することをおすすめします。

2.外壁検査方法にはどんな種類があるのか

きれいだったマンションの外壁が、あるときを境に「何だかずいぶんくたびれて見えるな」と感じたら、外壁検査をするタイミングでしょう。

しかしながら、外壁の劣化は、素人が見ただけで判断するのは危険だとされています。

見た目にはきれいに見える外壁でも、劣化が進んでいることは多いのです。

建築基準法では、マンションやビルなどの所有者は、専門技術を有する資格者に検査を依頼し、結果を特定行政庁に報告する義務があります。

さらに、平成20年4月1日以降は、通常の手の届く範囲の打診や目視での調査に加え、10年ごとに「全面打診」が必要になりました。

もし、所有しているマンションが築10年を迎えていたら、外壁検査を行いましょう。

現在行われている外壁検査方法は2種類です。

「打診調査」と「赤外線調査」で、それぞれにメリット・デメリットがあります。

それぞれの内容を把握して依頼するようにしてください。

3.全面打診調査法の特徴

マンションの外壁調査方法のひとつ、「全面打診調査法」とはどのような特徴があるのでしょうか。

3-1.全面打診調査法を行う条件

全面打診を行う建物には条件があります。

  • 外壁の構造…壁面がタイル・石貼り・モルタル仕上げの建物。
  • 対象期間…建設完成後・大規模外壁改修後・全面打診調査後、10年を越えている建物。
  • 打診対象…壁面からの落下物により歩行者に危害を加える部分を全面打診。

3-2.全面打診調査法とは

全面打診調査法とは、一般的にテストハンマーや打診棒と呼ばれる外壁検査器具を使用して調査する方法です。

外壁をたたいたり、タイル面を転がすようにしたりして使います。

器具が発生する音の高低によって、外壁が浮いている部分(はく離部)の有無を判定するのです。

さらに、外壁のひび割れや爆裂(ばくれつ)・窓回りや目地シーリングの劣化も細かくチェックします。

マンションの場合は、仮設足場を組み立てて各階を順番に検査するのが一般的です。

また、立地によっては高所作業車を使用することもあります。

3-3.全面打診調査法のメリットとデメリット

全面打診調査法のメリットとは…

  • テストハンマーや打診棒を使って、たたいたり転がしたりして調べるため、打診調査と同時に目視による調査もできる。
  • 打診調査と同時に触診調査もできる。
  • 外装がはく離した部分は確実に目で分かるので調査が正確。
  • 調査しつつ危険な場所をすぐに見つけられる。そのため、迅速に応急処置が可能。

全面打診調査のデメリットとは…

  • 壁面を人間が調べるので、高所は仮設足場が必要になる。
  • ゴンドラや高所作業車、仮設足場などの費用が調査費にプラスされる。
  • 赤外線調査よりも時間がかかってしまう。

全面打診調査法は、人が手と肉眼により少しずつ調べるので時間がかかります。

また、仮設足場の場合、住人は作業が終了するまで不自由な思いをしなければなりません。

しかしながら、全面打診調査法は「正確な調査ができる」、「信頼できる結果が得られる」と評価が高いのです。

そして、最近では、仮設足場を作らずに外壁の全面打診調査法ができる「ブランコ作業」が注目されています。

ブランコ作業は、屋上から吊るしたロープを伝わりながら熟練の職人が作業する方法なので足場を必要としないのです。

作業時間も短く、足場が不要なのでリーズナブルなのも魅力でしょう。

さらに、誰でも出入りできる足場がないのでどろぼうが侵入するようなこともありません。

防犯上でも安心な方法なのです。

ここ数年、ブランコ作業による全面打診調査法選ぶマンションオーナーさんは多くなっています。

4.赤外線調査法の特徴

外壁調査のもうひとつの方法、赤外線調査法とはどのように行うのでしょうか。

4-1.赤外線調査法の特徴

赤外線調査法とは、マンションの表面温度をサーモグラフィ(赤外線カメラ)で撮影・測定し、外壁の浮いている部分やはく離部分を測定する「非破壊検査」です。

非破壊検査とは、「モノを壊さず」に。欠陥や劣化などを調べる検査技術のことを指します。

ビルのみならず橋・鉄道・原子力発電所などすべてに用いられる方法なのです。

4-2.赤外線調査法の方法

・はく離・浮き部分

タイル(モルタル)とコンクリートの間に、浮きやはく離が発生した部分には空気層ができます。

できた空気層の温度が、断熱の役割をするので周囲と表面温度差が生じるのです。

外線カメラは温度差の変化を測定し、画像を解析して浮きやはく離部分を発見します。

・躯体内(くたいない)爆裂部分

コンクリートのヒビ割れ部分から水が侵入し、躯体内(土台内)の鉄筋にサビが生じます。

サビが生じると、爆裂現象(コンクリートが押し出されたり鉄筋が露出したりする状態)が起こるのです。

そして、爆裂現象部分と周囲には温度差が生じます。

赤外線カメラは温度差の変化を測定し、画像を解析して爆裂部分を発見するのです。

4-3.赤外線調査法のメリットとデメリット

赤外線調査法のメリットとは…

  • 非破壊で劣化してる部分を特定できる。
  • 赤外線カメラによる撮影は遠隔調査ができ、広域範囲の測定が可能。
  • 足場を組む手間や作業計画を立てる時間が不要。
  • 作業が迅速。

赤外線調査法のデメリットとは…

  • 撮影データを解析するときには、調査日の天候・気温・太陽の位置・風の強さなどの条件も必要。そのために、撮影者しか正しい画像解析ができない。
  • 外壁面が乾燥しているときしか調査できず、調査日は天候により左右される。
  • 断熱材や空気層があるマンションの場合、正しい調査結果を得るのが難しい。
  • 全面打診調査法と比較すると、調査結果に対する信頼性が低い。

赤外線調査法は作業が早く、作業用の仮設足場を組む必要がありません。

そのために、「作業している人に室内を見られてしまう」という住民の精神的な負担もなくなります。

しかしながら、マンションの安全性を正確に把握し外壁修理を行うには、確実に調査結果が分かる全面打診調査法のほうがおすすめでしょう。

5.まとめ

いかがでしたか?

マンションのオーナーさんにとっては、時間の経過とともに劣化していく建物のメンテナンスは必要です。

しかしながら、いつ・どのように・どこに頼むかなどは頭を悩ますことでしょう。

外壁は見た目がみすぼらしくなると、建物の価値が落ちるだけではなく、外壁のタイルがはがれて落ちるなどの危険もあります。

そこで、ここでは、マンションの外壁修理を考えているオーナーさんに向けて外壁調査の必要性をまとめてみました。

  1. マンションの外壁検査の必要性とは
  2. 外壁検査方法にはどんな種類があるのか
  3. 全面打診調査法の特徴
  4. 赤外線調査法の特徴

以上のように、外壁のリフォームをする前には、外壁がどのような状態になっているのか調査は必要です。

外壁検査は、法律でも建物の持ち主の義務と決められているので、必ず時期が来たら行ってください。

調査方法には、「全面打診調査法」と「赤外線調査法」の2種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

しかしながら、信頼のおける調査結果を求めるのであれば、全面打診調査法のほうが確実です。

最近注目されている足場のいらないブランコ作業なら、仮設の足場も不要なので全面打診調査法のデメリットは解消されます。

工事費の大半を占めていた足場代をカット!工事費の大半を占めていた足場代をカット!